七百五十三話 体験入園の当日打ち合わせ
ブランデー子爵家の対応は、体験入園がキーとなる。
そこで、今日行われる体験入園はかなりの警備を敷くことになった。
名目上は王妃様とルーシーお姉様が体験入園に参加するということで、近衛騎士も増員します。
まずは、関係者が学園の応接室に集まっています。
「どうしてこうなったんだろう……」
「ルーシーが悪いわけじゃないさ。悪いのは、全部ブランデー子爵だ」
「そうよ、ルーシーは何も悪くないわ。気にしなくて良いのよ」
昨日からルーシーお姉様がどよーんってなっていて、それをルーカスお兄様と王妃様が慰めていました。
ルーシーお姉様は、完全に巻き込まれた形だもんね。
「王妃様、ブランデー子爵夫妻とルーシーお姉様の同級生ってどんな人ですか?」
「ブランデー子爵は小太りで既に髪が殆どなく、ブランデー子爵夫人も太っていて特徴的なオレンジ色の髪をしているわ。息子がルーシーと同じ年だけど、息子もオレンジ色の髪をしているわね」
「外見で一発で分かるのは助かるな。夫妻の方は、もう姿が想像できるが」
王妃様にブランデー子爵夫妻と息子の特徴を聞いたけど、オレンジ色の髪という特徴があるのは助かる。
多分だけど、見ただけで直ぐに分かりそうだ。
ジンさんも同じイメージらしく、容易に夫妻の姿が想像できた。
「そういえば、王妃様の装飾品が控えめですね。もしかして、ブランデー子爵夫妻対策ですか?」
「いいえ、公務ではないし華美な物を普通に控えているだけよ。物は良いものを使っているわ」
今日はあくまでも来年の新入生が主役だから、王妃様も考えてアクセサリーを身に着けていた。
対して、ブランデー子爵夫妻は金ピカのアクセサリーを身に着けてくるはずだ。
「マジカルラット部隊は、既に配置についています。何かあれば、ポッキーが増援を呼んできます」
「それは助かる。後は、お前の指揮に任せるぞ」
「きゅー」
今日は、ルーカスお兄様の従魔のマジカルラットの指揮が一つのポイントになる。
ルーカスお兄様のマジカルラットはとても真面目だし、今もルーカスお兄様に敬礼のポーズをしています。
「ルーシーお姉様のぴぃちゃんも、ルーシーお姉様と一緒に行動するんですよね?」
「ええ、ぴぃちゃんも雷魔法が使える様になったし、空も飛べるのも大きいわ」
「ぴぃ!」
サンダーホークの雛も随分と大きくなり、今やルーシーお姉様と常に一緒にいます。
見た目は小さな鷹だけど、中々強くなった。
ルーシーお姉様のすぐ近くにいる護衛ですね。
「では、私とルーシーは他の生徒会の者と打ち合わせがありますので、これにて失礼します」
「お先に失礼しますわ」
ルーカスお兄様とアイビー様は、応接室にいる人に挨拶してから部屋を出ていきました。
すると、この人も動き始めました。
「よし、じゃあ俺も行きますわ。一緒に行くぞ」
「きゅー!」
ジンさんとルーカスお兄様のマジカルラットが、体育館の警備を確認する為に動いていきました。
でも、ジンさんの肩にちょこんとマジカルラットが乗っている姿は、あまりない光景だから面白いね。
僕とルーシーお姉様と王妃様はまだ時間があるので、ちょっとゆっくりします。
ピピピピ。
と思ったら、僕の通信用魔導具がなったのでアイテムボックスから取り出します。
内容を確認すると、とんでもない事が書いてあった。
「えっと、カミラさんからですね。えっ、例の氾濫を起こした河川が増水中。上流で大雨が降った模様。土手にヒビが入ったので、スラちゃんが急いで土魔法を使って補修中。因みに、ブランデー子爵家は誰も見に来ない」
「直ぐに王城に連絡するわ。何人かは、土手を監視していてと伝えて。スラちゃんがいてくれて助かったわ」
僕は王妃様が話した内容をカミラさんに返信して、王妃様は王城に連絡しました。
これは、ブランデー子爵領もヤバイことになっているぞ。
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