七百三十八話 ツンツン頭の屋敷を捜索
パカパカパカ。
パカパカパカ。
軍の騎馬隊に馬車が、ツンツン頭の屋敷の前に大量に到着。
門兵も屋敷の者も、突然現れた軍に完全にワタワタしているぞ。
ガチャ。
「じゃあ、速やかに終わらせますか」
「そうですね。スラちゃん達は、門兵に捜索令状を見せたら屋敷に入っちゃってね」
僕とルーカスお兄様は、お互いに見合って頷きました。
僕も、早く終わらせて貴重な休日を堪能したいもんね。
みんな馬車から降りた所で、未だにワタワタしている門兵の所に向かいます。
そして、軍務卿が一枚の紙を門兵に突きつけました。
「軍務卿ケーヒル伯爵だ。闇組織処罰法違反で、これよりバレン子爵家へ家宅捜索を行う。速やかに開門せよ」
「「はっ、はぃぃ!」」
シュッ。
軍務卿の迫力に圧されて、門兵はあっさりと門を開けます。
大勢の兵が屋敷になだれ込むのと同時に、いわゆるスラちゃん部隊が屋敷の中に潜入しました。
これで捕縛した闇組織の構成員の部屋にスラちゃん達が向かったから、目的の九割は達成した事になりますね。
僕たちも、兵に続いて屋敷の中に入ります。
「なっ、何だ貴様らは! ここを、誰の屋敷だと思っているのか?」
「帰れ! 国家権力の犬よ帰れ!」
屋敷に入ると、激怒しているツンツン頭と全くそっくりの子どもが僕たちに悪態をついていました。
うん、あの子どもが僕と同い年の子だね。
今の内に接触していて良かった、どうやっても友達になれそうにもないぞ。
それはリズ達も同じだったみたいで、完全に嫌っているみたいだ。
そして、そんな悪態が止まらない二人に向けて、ルーカスお兄様が冷たい眼差しのまま話し始めた。
「では、二人とも闇組織との繋がりを認めるのか? この屋敷にいた者が、闇組織のアジトで拘束された。その者は、どうも二人に色々と話をしていた様だな」
「はっ、闇組織? あいつが?」
「えっ、えっ?」
やっぱりというか、二人は自分達に接触していた者が闇組織の構成員だと思わなかったみたいだ。
流石に二人とも闇組織の名前が出てきて、訳が分からない表情をしているぞ。
「家族を全員応接室に入れて、捜索が終わるまで監視をするように。家人も一箇所に集めて、家族と家人への聴取も行うように」
「「「はっ」」」
「がっ、くそ!」
「何をする!」
ルーカスお兄様の指示で、二人は兵によって応接室に連れて行かれました。
他の人も、空いている部屋に集められて聴取を受けます。
その間に、僕たちは手分けして主要な部屋の捜索に当たります。
「あっ、お金の入った袋を発見したよ」
「こちらは手紙です。脱税っぽいです」
「これは闇組織の指示書です。馬鹿をもっと煽れって書いてあります」
「薬もあった。興奮剤っぽい」
捕まった闇組織の構成員の部屋を調べると、次から次へと色々な物が出てきます。
全部スラちゃんのアイテムボックスに入れて、証拠隠滅を防ぎます。
そして、逐一王都郊外の軍駐屯地に証拠品を運んでいます。
「ジンさん、もしかしたらあのツンツン頭は興奮剤を定期的に飲まされていた可能性がありますね。なんせ、あの興奮具合ですから」
「いや、その可能性は低いな。興奮剤が使われた形跡がない」
「奴は元からあんな性格だ。ジンの言う通り、薬は使った可能性はないな」
えっと、僕としてはジンさんと軍務卿の意見の方がビックリです。
どう見ても、二人は薬を飲んでいるようにしか見えなかったよ。
「あっ、また何かあったよ。お金の袋だ」
「こっちにもお金の袋があったよ」
「また、お薬が出てきました」
「こっちも薬だ」
それにしても、一体どれだけの証拠品が出てくるんだろうか。
流石に僕もビックリです。
「でも、流石に家人の管理不行き届きでは処罰は出来ないですよね?」
「普通の犯罪なら難しいが、今回は闇組織だ。闇組織の構成員を雇用してはいけないと法律に明記しているから、今回は処罰対象になる」
流石に当主交代とかにはならないけど、軍務卿曰く多額の罰金は免れないそうです。
そんな事を思っていたら、急に宙が歪み始めました。
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