七百二十七話 新たな作戦
閣僚交代の影響も落ち着いてきて、ツンツン頭の貴族の屋敷への捜査も引き続き偵察と集めた資料の分析待ちです。
なので、休息日は冒険者活動をしていますが、今日は別の事を行います。
「はい、熱いから気をつけてね」
「次の人、どうぞ」
今日は王都の教会前で、王族も集まっての炊き出しをしています。
治療もするけど、今日は炊き出しをメインに手伝っています。
炊き出しに参加するのも、ちょっと久しぶりだなあ。
もちろん、ルカちゃんとエドちゃんを含むちびっこ軍団も張り切ってお手伝いしています。
ぴかー!
「どうですか? 痛いの良くなった?」
「おお、すっかり良くなった。流石は、勇敢な天使様だ」
今日の治療は、ミカエルとブリットが張り切って行っています。
ミカエルの二つ名も僕とリズの二つ名に負けないくらい有名なので、特に年配の人から治療の腕を褒められています。
二人とも、日々の訓練で治療の腕が上がっているもんな。
そんな治療班では、もう一人人気の人がいました。
ぴかー!
「はい、これで良くなりましたよ」
「おお、すげーな。ねーちゃん、ありがとうな」
シスター服に身を包んだアレクサさんも、今日は治療班として参加しています。
こちらは男性ばかり並んでいますね。
アレクサさんはとってもスタイルが良いから、とても分かりやすい理由です。
まあ、アレクサさんに手を出そうものなら、他の女性陣に袋叩きにされそうですね。
「ルーカス殿下、追加の野菜を持ってきました」
「ありがとう。では、ジンさんに渡してくれ」
今日は王妃様とアリア様にティナおばあさまは王城にいます。
アレクサさんの赤ちゃんのアンリちゃんも、エリちゃんと一緒にみています。
その代わりに、現場指揮はルーカスお兄様とアイビー様が行っています。
ルーカスお兄様の同級生も、良い機会だからと炊き出しを手伝っています。
「ルーカスお兄様も、中々の指揮ぶりですね」
「ルーカスなら、このくらいはできるだろう。しかし、今日は大盛況だな」
僕は、ジンさんとスラちゃんと共に周囲を警戒しつつ野菜やお肉を切っています。
調理班にもルーカスお兄様の同級生が混ざっていて、憧れの救国の勇者様と一緒だとテンションが上がっていました。
周囲を見回してっと、いたいた。
「アイビー様、斜め右の建物の影にこちらを伺っている不審者がいます」
「はあ、またですか。アマリリス、行って頂戴」
これだけ多くの人が集まっていれば、必然的にスリや窃盗を働く人も集まります。
アマリリスやプリンに頼んで、不審者を拘束していきます。
街の治安改善に役に立っていますね。
「しかし、闇組織がいる気配は全く無いな」
「少なくとも、この炊き出し現場にはいないですね。来週は、別の場所に変えて炊き出しをやってみましょう」
僕とジンさんは、お互いに来週の事で話をします。
ある意味ゴキブリホイホイ作戦なんだけど、今日は大物は釣れなかったみたいですね。
因みに、こうして炊き出しをしている間にも、ポッキーを中心としたマジカルラットチームがツンツン頭の屋鋪に潜入して色々と調べています。
こうして、ミカエル達のお昼寝時間前には無事に炊き出しが終わりました。
「ルーカス殿下、アイビー様、今日は貴重な体験ができましたわ。お誘い頂きありがとうございます」
「街の人がどの様に暮らしているかを知るのも、僕たちの仕事だ。これからも何回か炊き出しをおこなうから、良ければ参加して欲しい」
「「「はい!」」」
ルーカスお兄様も、上手く同級生をまとめていますね。
同級生も、とても良い経験になって良かったです。
さてさて、後片付けをして王城に戻りましょう。
「「「すー、すー」」」
「あらあら、直ぐに寝ちゃいましたね」
「それだけ、一生懸命頑張ったのね」
ちびっこ軍団は、直ぐにみんな集まって寝ちゃいました。
現場にいなかった王妃様とアリア様も、目を細めながら皆を見ていました。
「今日は軽犯罪者を捕まえただけで、大物はいませんでした」
「それは仕方ないだろう。奴らも直ぐに尻尾を出すわけではない。街の治安向上に一役買ったと思えば良いだろう」
僕は陛下と話をするけど、この炊き出しは陽動作戦も兼ねている。
集めた資料だけだと、どこに闇組織のアジトがあるかわからないんだよね。
どこで炊き出しをすれば闇組織が慌てるか、もう少し続ける必要がありそうですね。
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