七百二十四話 楽しみな温泉タイム
みんなで、いつもの温泉宿の前に移動します。
屋敷から宿の前にゲートをつないで、ミカエル達が先頭を切って宿の中に入っていきました。
「「「こんにちわー」」」
「はい、いらっしゃい。お待ちしてましたよ」
すっかり顔なじみとなった宿のおばちゃんが、ニコニコしながらミカエル達を出迎えてくれました。
すると、どこからか聞こえてくる音が。
「ぐこー、ぐこー」
僕は、ルーカスお兄様と顔を見合わせました。
ルーカスお兄様も、あちゃーって表情をしています。
「あの、前回に続いて申し訳ありません……」
「いえいえ、だいぶお疲れみたいでしたので」
ルーカスお兄様は、直ぐに宿のおばちゃんに謝っていました。
前回も、こんな事があったね。
という事で、音の震源地に向かいます。
「ぐこー、ぐこー」
「あっ、怪獣だ! 怪獣の声だ!」
「怪獣!」
やはりというか、音の正体は陛下のイビキでした。
前回も、マッサージを受けて気持ちよくなって寝ちゃったよね。
ちびっこ軍団が陛下のイビキを怪獣だと言っているけど、大人も誰一人として否定しませんでした。
さて、陛下をどうやって起こそうか。
すると、スラちゃんが触手を上げてフリフリとしていました。
シュッ。
あっ、スラちゃんが陛下ごと長距離転移で移動して直ぐに戻ってきたよ。
「スラちゃんが、陛下の体を生活魔法で綺麗にして、王妃様に渡してきたって」
「勉強部屋に置いてきて、ルカちゃんとエドちゃんがお父様をバシバシと叩いて起こしたって」
えーっと、という事は陛下はパンツいっちょで勉強部屋に送られたという事なのか。
うん、無事に王城に着いたから良しとしておこう。
「じゃあ、早速温泉に入ろう!」
「あっ、僕は九歳だから女子更衣室にはいかないよ」
「えー、何で!」
「「「何で!」」」
リズよ、何でじゃないでしょうが。
ちびっこ軍団も文句を言っているけど、こればっかりは譲れません。
「ほらほら、リズちゃんもお兄ちゃんと離れて着替えられないとね」
「はーい……」
ティナおばあさまに諭されて、リズもようやく観念したみたいです。
僕達は、男女に別れて更衣室に向かいました。
「リズには、もう少し女の子の自覚を持って欲しいです……」
「ははは、しょうがないな。九歳だから、もう少ししたらはっきりと自覚するだろう」
更衣室で僕の愚痴を聞いたジンさんだけど、ジンさんも小さい頃はルルーさんと一緒に着替えたりとかで色々とあったらしいです。
さてさて、僕も温泉に入りましょう。
「ぶー」
「リズ、機嫌直してよ……」
「ぶー」
しかし、温泉に入ってもリズはふくれっ面のままだった。
それでも僕の隣で温泉に入っている辺り、リズも複雑な心境なんでしょうね。
「ほらほら、リズちゃんもそろそろ機嫌を直さないとね。せっかくの温泉がつまらなくなっちゃうよ」
「そうですわ。私もリズちゃんの歳の頃には、お兄ちゃんと一緒にお風呂には入らなくなったわよ」
「えっ、そうなの?」
エマさんとオリビアさんがリズに話しかけていたけど、段々と恥ずかしさが出てきたみたいです。
リズに恥ずかしさは、全く無いなあ……
「そうだ。今度リズちゃん達も、女の子だけでお風呂に入ったらどうかしら?」
「きっと、色々な話が聞けるよ」
「うん、入ってみたい!」
いわゆる女子会みたいなものですね。
ここは、提案してくれたエマさんとオリビアさんに感謝です。
しかし、エマさんとオリビアさんの興味は直ぐに別の所に向いてしまいました。
「しかし、ローリーちゃんって、本当に胸が大きいよね」
「頭も良くてスタイルも良くて、とっても羨ましいですわ」
「あ、あのあのあの、その……」
うん、ローリーさんは服の上からでもスタイルが良いって分かっていたけど、脱いで水着になったら凄いことになっていた。
カレン様と同じくらい、お胸が凄かった。
「はふー」
「ミカエルちゃんは、本当に温泉が好きね」
当のカレン様は、周りをちびっ子軍団に囲まれてご機嫌でした。
アイビー様もちびっ子軍団の側にいて、温泉を楽しんでいました。
「おお、ここにいたか」
「我々も入らせて貰います」
「どうぞどうぞ」
ここで、マッサージを受けていた閣僚も溫泉に入ってきました。農務卿も軍務卿も温泉に入った事があるので、宿のおばちゃんも普通に案内してくれたみたいです。
こうして、皆でワイワイと温泉で温まりました。
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