七百九話 新たな勢力の存在
「じゃあ、ミカエルはキチンとしているんだよ」
「はーい」
時間になったので、ミカエルはサンディに手を引かれながら他の貴族当主と共に移動していきました。
僕達は、王家用の控室に移動します。
「はあ、俺は一人で移動か……」
「閣僚も、ジンさんの事を良く知っているから大丈夫ですよ」
「はあ……」
ジンさんは、案内の侍従の後を暗い表情でついて行きました。
あのジンさんでも、誰もついてこなくて不安みたいですね。
「ルカちゃんとエドちゃんは、ニコリとしていれば良いのよ」
「がんばるぞ!」
「おー!」
ルカちゃんとエドちゃんは、ティナおばあさまに声をかけられると何故か気合を入れていた。
まあ、緊張してガクガクブルブルするよりかは全然良いですね。
「おばあちゃん、今日はお兄ちゃんも前に出るの?」
「名前を呼ばれた時に、アレク君が前に出ていけば良いのよ。リズちゃん達は、拍手をしてあげてね」
「おお、リズ、いっぱい拍手するよ!」
リズ、一生懸命に拍手をしないで良いよ。
あくまでも王族なんだから、優雅に拍手をして下さい。
「今日は私も特にやる事がないから、気楽にいけるよ」
「私もですわ。ルーカス様の場合は、学園を卒業したら陛下の補佐になりますわね」
ルーカスお兄様とアイビー様は、謁見でも特にやる事がないのでとっても気楽に構えています。
ルーシーお姉様もお茶を飲みながらエリちゃんと戯れていたし、エレノアもリズと楽しくお喋りをしています。
「ねーねー、おはなししよー」
「じゃあ、絵本でも読もうか」
「えほんよんでね」
僕はというと、両側をルカちゃんとエドちゃんに挟まれながらアイテムボックスから取り出した絵本を読んでいます。
まだまだ無邪気なルカちゃんとエドちゃんに、僕もホッと一息ついています。
ガチャ。
「おっ、皆来ているな。アレクも、緊張していないみたいだな」
「あの、ルカちゃんとエドちゃんと絵本を読んで、ようやく落ち着いたんですよ」
「ははは、そうか」
控室に、着替えを終えた陛下がやってきた。
今回は僕も謁見で色々と忙しいから、ちょっとからかってきたみたいです。
今の僕には、陛下にからかい返すまでの余裕はないですよ。
「なに、今回は新閣僚の発表と各貴族への注意喚起がメインだ。特に闇ギルドの動きが活発になってきたのでな、一言言わないとならない」
確かに、各国でも闇ギルドの活動が活発になってきている。
恐らく闇ギルドと繋がりのある貴族は聞き流すだけだと思うけど、他の貴族には大きな注意喚起になるね。
「それと、今回の閣僚決定に誰が反論するかを見てみたい。既にベストール侯爵には話をしてある」
「確かに今のベストール侯爵はとても良い人ですし、ノエルさんとも良好な関係です」
「だからこそだ。未だに貴族主義の考えの者はいる。思想だから、それはしょうがない。実は、一つ気になる勢力がいるのだよ」
何だろう、気になる勢力って。
貴族主義勢力以外に、何かあるのかな?
「自称改革派の存在だ。古い権威を打破しようと、特に若い当主にそういう考えを持っている」
「でも、制度をいきなり大きく変えるのはとっても危険ですよ。それを分かっているのでしょうか?」
「多分、分かっていないだろう。少なくとも、現在の王家のやり方に不満を持っているものはいる。奴らは、過激な発言をして、影響力を高めようとしているのだよ」
うーん、ある意味貴族的な考え方だね。
実効性はともかくとして、声を上げる事を優先としているんだ。
謁見中に、何か言ってこなければ良いなって思っているよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます