第七百一話 アンリちゃんに癒されます
今日は教皇国に行くのだけど、朝からトラブル発生です。
「今度は横領だって。本当に嫌になっちゃうわ」
「でも、これで王城内にある部署は終わるし、もう一踏ん張りよ」
今日で特別調査チームが王城内の部署を確認するのは最後なんだけど、スタートからやらかした職員を見つけたそうです。
レイナさんとカミラさんも思わず愚痴をこぼしているけど、それでも見通しが立ったので表情は明るいです。
「じゃあ、僕は教皇国に行ってきますね」
「宜しくね。アレクサも、ゆっくりしてきてね」
レイナさんは手をヒラヒラさせながら現場に行ったけど、実は今日はアレクサさんとアンリちゃんも一緒です。
教皇様などに、アンリちゃんをお見せする予定です。
準備も整ったので、僕達は教皇国に向かいました。
「あうー」
「おお、元気な子だ。アレクサと同じ、綺麗な青髪だ」
「それに、将来は美人になるでしょう。この子を通じて、教皇国も帝国と更に友好を深める事ができますな」
アンリちゃんは、早速教皇様とサイファ枢機卿が交互に抱っこしていました。
アンリちゃんって、かなり特殊な位置にいる赤ちゃんだよね。
ジンさんの子どもってだけでも、凄いことなんだよね。
「あうあう」
「初めてあった時よりも、随分と大きく重くなりましたわ。赤ちゃんの成長は、とっても早いですね」
「寝返りをうつようになりましたし、何でも手に取る様になりました。おもちゃ遊びも大好きですわ」
会談を始めるので、アンリちゃんはカレン様が抱っこをして別室に行きました。
アンリちゃんも、カレン様に抱っこされて御機嫌ですね。
さてさて、僕もお仕事をしないと。
「各国から話は聞いていると思うが、闇ギルドの活動が活発になっている。教皇国でも同じだ。聖騎士団の巡回を増やしているが、怪しい薬を売っている奴が良く捕まる」
「あっ、そういえば、軍に興奮剤を使ったりしていましたね。最近、あんまり魔獣化した事例がないんです」
「恐らく、魔獣化の薬ではなくもっと安価で確実な薬を使っているのだろう。闇ギルドも、効率重視としているのだろうな」
闇ギルドも、色々な方法で資金を集めたり戦いをしたりしているんだ。
各国で活動を活発にしているし、あまり良くない兆候だね。
「アレク殿下とリズ殿下みたいに、圧倒的な力を持つ者が直ぐに対応できれば良いのですが、現実的には不可能です。聖騎士団も、人員と装備を整えている所です」
「王国も、訓練を強化したり装備を整えています。僕も一度行った所じゃないと、直ぐに行くことができません」
「即応力があるのは、どうしても現地に駐留する部隊です。最初から、アレク殿下の力を頼るのは得策ではありません」
スラちゃんは空を飛べるけど、僕はまだ飛行魔法が使えないんだよね。
それにしても、教皇様は元は聖騎士団を統括していただけあって、色々と対応しているね。
「最近は、双翼の天使様の逸話が聞こえないと言われておりますが、これほどお忙しいのならどうしようもないですな」
「うう、最近は全く冒険者活動ができていないです。目の前にある書類と格闘する日々です……」
「ははは、アレク殿下はとても賢いので、それはしょうがないですな。私も、アレク殿下が部下にいたら色々と頼みたいものです」
そんな逸話ができるほど、全く活動できていないんだよね。
教皇様も、僕の事を慰めてはくれませんでした。
さてさて、話は終わったのでアレクサさんとアンリちゃんの所に行きましょう。
コロンコロン。
「あうあうあう」
「まあ、上手に寝返りができますわね」
「体を動かすのが大好きなので、いつもこうやって動いております」
カレン様もいる控室に行くと、アンリちゃんの寝返りを部屋にいる皆が見守っていました。
うん、とっても癒される光景ですね。
アンリちゃんも、とっても楽しそうに寝返りをしています。
ピピピ。
あっ、通信用魔導具に連絡が入ったよ。
うん、とっても嫌な予感がするよ。
「えっと、セクハラ常習犯がいて、学園から帰ってきたアイビー様を含む女性陣がブチギレている、っと。うん、帰ってからで大丈夫だね」
僕は、そっと通信用魔導具をアイテムボックスにしまいました。
この人には、制裁を受けてもらわないといけないね。
「アレク様は、相変わらずお忙しいですわね」
「ええ、こればっかりはどうしようもないかと」
「お体にお気をつけ下さいませ。温泉には、私も参加できると思いますわ」
流石は聖女のカレン様です。
僕の事を、とっても気にしてくれました。
後は軍のチェックが残っているので、温泉まであと少しですね。
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