六百九十九話 外遊一か国目
今日は、外遊一カ国目の帝国に来ています。
メンバーは、僕と外務卿とローリーさんと護衛の近衛騎士です。
「アレクお兄ちゃん、とっても疲れているね。顔色が良くないよ」
リルムに会って開口一番、僕の事に気を使ってくれた。
うん、毎日忙しくてとっても疲れていますよ。
まずは、リルムにローリーさんの事を紹介しないと。
「リルム、秘書課からの僕の担当でローリーさんです」
「初めまして、アダント帝国第一皇女のリルムと申します」
「リルム皇女殿下、お会いできて光栄です。ブンデスランド王国秘書課のローリーと申します」
リルムも初めて会った時と比べると、随分としっかりしてきたね。
綺麗なカーテシーを披露して、にこやかにローリーさんと握手しています。
「それでは、会議室に案内します」
「あれ? 今日は、リルムも会談に参加するの?」
「リルムも参加するよ。参加したら、お父様からお小遣い貰えるんだ!」
ニコニコ顔のリルムが僕に答えてくれたけど、まだ七歳のリルムだから一緒に参加するのも勉強のうちだね。
張り切っているリルムの案内で、僕達は会議室に到着しました。
「おお、アレクサンダー殿下か。正月以来だな」
「皇帝陛下、お久しぶりです。外務卿もお久しぶりです」
会議室に入ると、直ぐに皇帝陛下と外務卿が僕と外務卿に近寄って握手をしました。
僕はアイテムボックスから、一通の手紙を取り出します。
「皇帝陛下、国王陛下より預かりました親書になります」
「うむ、確かに受け取った。帰りに私からの親書をアレクサンダー殿下に渡すので、国王陛下に渡してくれ」
親書も渡し終えたし、早速会談に移ります。
「王国でも闇組織関連で色々とあったみたいだが、我が国も色々とあった。やはり闇組織と対峙するのは、モグラ叩きと一緒だ。次から次へと出てくる」
「特に、王国と帝国は闇組織の活動が活発ですね」
「うむ。ドクターとピエロの居場所を、何としても見つけないとならない。帝国としても、第二、第三のジャンク公爵を生まない為にも、必死で動いている」
帝国でも、闇組織との戦いは大変みたいですね。
僕もジャンク公爵には酷い目にあったから、皇帝陛下には何とか頑張って貰いたい。
「王国は、今は行政改革の真っ最中なんです。僕も結構忙しくて、最初は週三くらいだったのに今では毎日お仕事しています」
「ははは、アレクサンダー殿下はとても有能ですから。陛下も重用したいのでしょう」
王国の改革の話をした時に、思わず僕の事を話しちゃいました。
帝国側だけでなく、王国側の人も笑っていました。
「しかし、あの小さかったアレクサンダー殿下が、こうして大きくなるのを見ると感慨深いものがあるな」
「そうですな。最初にアレクサンダー殿下をお会いしたのが、五歳になられる時でした。その頃から、アレクサンダー殿下は、信じられない程とても聡明でしたな」
そして少し談笑タイムになると、皇帝陛下と外務卿が僕の事を親戚のおじさんみたいな眼差しで見ていました。
僕としては、あの二歳だったリルムが大きくなったのを見て感慨深いんだけどね。
「アレクお兄ちゃんは、誕生日になるといつもプレゼントを送ってくれるんだ」
「そうなのですね。アレク殿下はとってもお優しいですから」
リルムは、ローリーさんと仲良く女性同士でお話ししていました。
そういえば、もうそろそろ今年のリルムの誕生日プレゼントを用意してあげないと。
この後も、担当者同士での打ち合わせも無事に終わり、帝国への外遊は何とか終了しました。
「さてさて、何か連絡が入っているかな? って、何だこれは?」
「「「お土産宜しく」」」
通信用魔導具に何か連絡がきているかなと思ったら、陛下や宰相からもお土産の話が来ていました。
「外務卿、この内容は無視して良いですか?」
「うーん、何も買わないで帰ると陛下がごねる可能性があります」
大きな子どもがぐずるのが目に見えたので、僕はとほほと思いながら帝国の担当者にお土産をお願いしました。
因みに、今日のリズ達は大きなトラブルはなかったみたいです。
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