六百七十五話 ちびっ子軍団探索隊
僕達は、翌日からバイザー子爵領の問題にあたります。
僕とリズとティナおばあさまは、早速バイザー子爵領に向かいました。
屋敷の捜索がメインなので、サンディとイヨに加えてミカエル達ちびっ子軍団も来ています。
エレノア達は、今日は陛下と一緒に来賓対応です。
とても面倒くさいって、エレノアがごねていたっけ。
「ジンさん、任せっぱなしですみません」
「いやいや、全然問題ないぞ。そっちは大捕物だったらしいからな」
「「「おかーさーん!」」」
レイカちゃん達がお母さんに向かって走っていく中で、僕はジンさんと話をしていました。
二日間で帳簿を調べたそうですが、一部の横領以外は何も問題なかったそうです。
「横領した職員は、本当に横領だけしかやっていないみたいね。部屋からは何にも出てこなかったし、自供も間違いないわ」
「ぎゅー」
レイカちゃんを抱っこしながら、レイナさんが捜査の進捗状況を教えてくれました。
ティナおばあさまも、何か腑に落ちないでいるみたいですね。
因みにレイカちゃんは、お母さんであるレイナさんに笑顔で抱きついていました。
やっぱりレイカちゃんも、お母さんに会えなくて寂しかったみたいですね。
「じゃあ、早速宝探しをするぞ!」
「「「おー!」」」
リズの合図で、ちびっ子軍団による宝探しが始まりました。
お母さんに会えたパワーで、レイカちゃん達も元気満々です。
ジェリルさんやランカーさん達に屋敷の侍従も一緒にいるし、バイザー子爵家の屋敷には何回も来た事があるので迷子にはならないはずです。
ルリアンさんとランカーさんと共に、ちびっ子軍団は走っていきました。
スラちゃんとプリンに、マジックラット達もついて行きます。
「子ども達は、本当に元気いっぱいね」
「そうですね。皆、とっても張り切っていますね」
「アレク、お前もまだちびっ子なんだからな」
ティナおばあさまと一緒に走っているちびっ子軍団を、僕も微笑ましく見ています。
ジンさんが何か言っていますが、特に気にしないでおきましょう。
僕達は応接室に移動して、ジンさん達から話を聞く事にしました。
「連絡しているから知ってると思うが、結論からいうと報告書の件はシロだな。前年の写しがあって、そのまま記載していただけだった。キチンと調査もしているが、国軍が駐留しているのだから当たり前だな」
「ついでに、屋敷の者や軍人に街の人にも話を聞いたわ。何にも起きてないそうで、至って平和そのものよ」
「冒険者ギルドに行っても特に変な依頼はなかったし、冒険者に聞いても変な人は見かけなかったって事よ」
「何も起きていないのなら、それで良いのよ。何も起きていないって証拠が、とても重要なのよ」
お茶を飲みながら皆で話をするけど、結局何も起こっていないそうです。
ティナおばあさまの言う通り、平和であるのが一番だね。
「そっちの方は、ある意味大変だったみたいだな。闇組織だけじゃなくて、飢餓輸出に違法奴隷に脱税に横領か。違法行為のオンパレードだな」
「僕もとてもビックリしちゃいました。カスバク子爵と男爵の統治停止の仮処分が出ていますが、そのまま国が治める事になりそうです」
「それが妥当だろう。俺が王様だったとしても、その二家は取り潰しにするだろうな」
カミラさんは通信用魔導具を持っていて、王城や祖父である宰相と連絡をやり取りしていたみたいです。
お菓子をバリバリと食べながら、ジンさんが面倒くさそうに話をしていました。
結局カスバク子爵家と男爵家は親類含めて全員捕まったので、爵位の継承権を持つ者が誰もいないそうです。
この時点で、既に駄目じゃんって感じですね。
ドタドタドタ。
「おっ、誰かやってきたな」
「一体何を見つけたのかな?」
「意外とお宝を見つけたりして」
ここで、廊下から元気な足音が聞こえてきました。
きっと、ちびっ子軍団の誰かが走ってきたんだね。
僕達は、皆元気だねってニコニコとしていました。
バン!
「おとーさん、おかーさん、みつけたの!」
「えっと、かくしへや? みつけたよ!」
「「「へっ?」」」
元気いっぱいのレイカちゃんとガイルちゃんが、両親に見つけた物を報告していました。
これには、ジンさん達もとてもビックリしています。
「本当に隠し部屋があったわ。場所は執務室よ」
「マジでお宝を見つけたとは……」
「「おたからー!」」
レイカちゃんとガイルちゃんに付いてきたルリアンさんが言うのだから、間違いないだろう。
僕達も顔を見合わせてビックリしながらも、応接室のソファーから立ち上がりました。
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