六百六十話 バスタオルでも足りない様です
屋敷に戻って着替えも済ませたけど、教皇国に行くのならという事でついでにこの人も同行する事になりました。
「カレちゃん!」
「ミカエルちゃん、久しぶりね」
ちょうどお勤めが終わったタイミングでもあったので、カレン様も一緒にお店に行く事になりました。
カレン様大好きのミカエルが、早速カレン様に抱きついていました。
「急なお誘いになり、申し訳ありませんわ」
「いえいえ、こうして皆様と、などお会いできるのもとっても嬉しいですわ」
同じルーカスお兄様の婚約者同士のアイビー様とカレン様が、仲良く話をしています。
僕達は仲良しなので、婚約者同士でもいざこざはありません。
僕達の周りの人も、正妻と側室で仲が悪い人はいないもんね。
準備がととのった所で、教皇国にあるオカマさんのお店に向かいます。
「おーいおいおいおい、イヨの、イヨの表情が、柔らかくなっているわ。おーいおいおいおい」
「大げさすぎ」
オカマさんは、僕達とにこやかに話すイヨを見て大号泣していました。
バスタオルでも足りないくらい号泣するオカマさんを見て、流石のイヨもドン引きです。
まあ、僕達の所に来た当初のイヨは本当に無表情だったから、僕もオカマさんの嬉しい気持ちは何となく分かるけどね。
「おーいおいおいおい」
「では、席にご案内しますね」
「「「はーい」」」
「おーいおいおいおい」
オカマさんが泣き止まないので、普通に店員さんが僕達を席に案内してくれました。
個人的には、オカマさん料理作れるかなって思ったりして。
「はあ、凄い経験しちゃったよ。あの人が前に聞いたオカマさんなんだね」
「私としては、とても心がピュアな方だと思いましたわ」
さすがエマさんとオリビアさんです。
ちょっと驚いていたけど、あっという間にオカマさんの事を普通に受け入れていました。
「アレク君がイヨを大切にしているから、きっとイヨも表情が柔らかくなったのよ」
「オカマさんから預かったので、僕も気にしていましたよ」
ティナおばあさまも、僕の頭を撫でながら話をしてくれました。
どちらかと言うと、リズ達のガールズトークや遊びが大きな効果があったと思うな。
「それでは、お待ち下さい」
「「「はーい」」」
店員さんが注文を取って料理ができるまで少し時間が開くので、カレン様に近況を聞くことにします。
「最近は新たな聖女候補者もメキメキと力を付けてきまして、そろそろ私抜きでも一人で仕事が出来そうです」
「それは良かったですね」
カレン様がルーカスお兄様と婚約しているのは、教皇国でも周知の事実です。
僕も皆も後継者が出来たと聞いて、ホッと一安心です。
「皆さんから情報を頂き、聖騎士を中心に捜査も行っております。しかし、中々逃走した闇ギルドの構成員は追えません」
「それは私達も同じですわ。それでいて散発的に事件を起こすので、本当に厄介ですわ」
アイビー様にとっては、入園式でも闇ギルド関連の騒ぎが起きたので、本当に憎き相手なんでしょうね。
教皇国でも足跡を追えていない様なので、今度は他の国に行って話を聞いてこよう。
「お兄ちゃん、来週はお仕事あるの?」
「うーん、来週はずっとお仕事だよ」
「「「えー!」」」
あと二週間は、毎日お仕事の予定です。
四月になれば余裕が出てくるんだけど、今は余裕が全くないんだよね。
リズ達も僕が仕事だと何かしらの事をしないといけないので、大いに不満の声を上げていた。
僕だって、お休みの日が欲しいよ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます