六百五十七話 午後は軍でのお仕事です

「お兄ちゃん、午後もお仕事なんだよね?」

「お仕事だよ。どうかしたの?」

「リズも一緒に行っていいって、おばあちゃんが言ったんだ!」


 昼食時にリズが僕の午後の予定を聞いてきたけど、これは絶対に僕の仕事についてくるつもりだな。

 良く見ると、エレノアも僕の事をじっと見ていた。

 サンディとイヨも僕の事を見ていたので、大人数で軍の駐屯地に行くのは間違いなさそうです。


「僕の行く会計部隊はとっても重要な所だから、ルーカスお兄様とアイビー様の所から離れないでね」

「「「はーい」」」


 リズ達もちゃんと分かってくれたので、これで一安心です。

 因みにルーシーお姉様は午前中の学園の話し合いの関係で、まだお仕事があるそうです。

 という事で、午後は皆で軍の駐屯地に向かいました。


「ルーカスお兄様、アイビー様、リズ達を宜しくお願いします」

「特にやる事もないけど、分かったよ」

「アレク君は、自分の仕事を頑張って下さいな」


 軍の駐屯地に着いたら、僕は皆と別れて会計部隊に向かいます。

 ルーカスお兄様とアイビー様にリズ達をお願いしたけど、今日は結構大変な報告会だって聞いていたよ。

 リズ達が音を上げないかちょっと心配になりながらも、僕は頑張ってとしか言えないもんね。


「すみません、お待たせしました」

「いえいえ、殿下もお忙しい所申し訳ありません」


 会計部隊に着くと、エブリンさんが出迎えてくれました。

 卒園生は、他の職員の元で研修中です。

 さあ、僕も仕事を始めよう。


 カリカリペラペラ。

 カリカリペラペラ。


「はい、これもチェックお願いします」

「あ、アレク君書類整理速いですね……」

「凄い勢いです……」

「僕は毎日いられる訳じゃないので、出来る時に一生懸命にやります」


 僕がどんどんと書類整理をすると、休憩中の卒園生がビックリしていました。

 二人の卒園生はエマさんとオリビアさん経由で会った事があるし、とっても優秀な人なので僕も安心です。

 二時間もすれば、取り敢えずの書類整理が終わりました。


「会計の大切さを知ることができて、僕も凄い勉強になりました」

「そう言って頂けると、我々も非常に心強いです。どんな部局でも、会計が正しく機能する事で組織を健全にする事ができます」


 休憩中にエブリンさんと色々と話をしました。

 発注管理とか予算管理とか色々とやる事があるので、ちょっとの間だけだけど会計部隊にいてとっても勉強になっています。


 カチャ。


「あっ、お兄ちゃん発見!」

「わっ、リズか」


 不意に会計部隊のドアが開いたと思ったら、リズが僕に抱きついてきた。

 どうも会議が終わった様です。


「あー、リズちゃんズルいよ。私も!」

「わっ、エレノアもいきなり抱きつかないの」

「ふふふ、皆さんとっても仲が良いですね」


 エレノアもリズに対抗して抱きついてきたので、エブリンさんに笑われてしまったよ。


「ルーカスお兄様、リズ達は邪魔をしなかったですか?」

「全然大丈夫だよ。寧ろ、改善点とかを指摘してくれたから、凄い役に立ったよ」

「「えっへん!」」


 僕が抱きつかれているのを見て苦笑しているルーカスお兄様だけど、皆やる事はやったみたいですね。

 因みに一番指摘していたのは、アイビー様だそうです。


「お兄ちゃんは、もう少しお仕事やるの?」

「やるよ。まだまだやる事があるよ」


 あと二時間はお仕事する予定だけど、何かあったのかな?


「じゃあ、リズ達もお仕事してくる!」

「お掃除のお仕事があるの」


 うん、リズとエレノアの言っていることがアバウト過ぎて分からない。

 ここは、サンディに通訳して貰おう。


「宿舎とかが結構汚れていたので、掃除をして綺麗にしたらどうかと意見が出たんです。それで、時間があるならとお二人がやる気になっていまして……」

「この時間だと、洗濯は無理」


 イヨも付け足してくれたけど、待遇改善策の中に掃除があるのね。


「私がついていますから、仕事が終わるまでやらせてきますわ。軍務卿にも、許可を取ってありますわよ」


 おお、アイビー様仕事が早い。

 という事で、リズ達も仕事をしに向かいました。


「ずっと勉強ばかりで退屈していたんですね」

「まあ、私も気持ちは分かるよ。学園でも勉強ばかりだからね」


 意気揚々と掃除をする為に向かっていった女性陣を、僕とルーカスお兄様は苦笑しながら見送りました。

 書類整理をルーカスお兄様も手伝ってくれたのでとても助かったのだけど、リズ達も徹底的に宿舎を綺麗にしていたので、また僕が会計部隊に来る時はリズ達も一緒にくる事になりました。

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