六百二十五話 ちょっと波乱の起きたブーケプルズ

 さてさて、結婚式は終わりなのだが屋敷に移動する前にお待ちかねのブーケトスがあります。

 今回はイザベラ様が良い方法を考えているみたいだけど、一体なんだろうか?

 取り敢えず、皆と一緒に教会の中から出ました。


「ここでブーケトスを行うのですが、今回は新しい試みを行います。ブーケトスに参加したい独身の女性は向かって右側に、独身の男性は向かって左側に集まって下さい」

「うん? なんだなんだ?」

「どうなっているのかしら?」


 取り敢えず、司会の人のアナウンス通りに人が分かれて行きます。

 リズ達ちびっこ軍団は、何故かルシアさんの側に待機していました。


「それでは、それぞれ紐を持って下さい。男女に一本ずつブーケに繋がった紐があります」

「おっ、そういう事か」

「ブーケプルズを一気にやっちゃうのね」


 僕も周りの人も、どんな事をやるのか分かりました。

 主にジェイド様とルシアさんの同級生が、ブーケから伸びているだろう紐を握りしめて行きます。

 さてさて、どの紐が当たりかな?


「それでは、ゆっくりと紐を引いて下さい」

「うわ、駄目だった」

「俺もだ」

「あー、今回も駄目だったわ」


 落胆の声が男女ともに聞こえて来る中、当たりを引いた人が。


「「あっ、当たった!」」

「「「おめでとー!」」」

「おめでとうございます。それでは、前へどうぞ」


 男女ともにルシアさんの同級生が、ブーケに繋がった紐を引き当てました。

 パッと見は、大人しそうな二人ですね。

 リズ達も、改めて白い花を投げていました。


「ありゃ、二人とも付き合っていなかったっけ? 昔から仲良かったよね」

「つつつつ、付き合っていないよ」

「そそそそ、そうだよ。そうそう」

「「「ふーん」」」


 あっ、ルシアさんがブーケをゲットした二人に話しかけたら、とても分かりやすく動揺していました。

 ルシアさんの同級生も、思わずジト目で見ています。


「そ、それは、お付き合いできればなと思ったり」

「良い人ではあるんだよね」

「「「ふーーーん」」」


 あーあ、もじもじしながらも更に二人は自爆しているね。

 同級生からの視線が更に集まっちゃったよ。


「お前ら、隣同士で話せ」

「それで、その周りを俺達が囲むぞ」

「どんな話が出てくるか、とても楽しみだわ」

「ええ、本当だわ」

「「えっ」」


 そして、同級生が二人の肩を叩いていました。

 これは間違いなく、この後の披露宴で何かありそうだね。


「それじゃ、屋敷にゲートを繋ぎます」

「さっさと行って、じっくり話を聞くぞ」

「ええ、行きましょうね」

「「はい……」」


 僕が屋敷にゲートを繋ぐと、我先にとルシアさんの同級生が向かいました。

 うーん、今年は別の意味で波乱の起きたブーケプルズになっちゃったね。

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