六百六話 アレクサさんの赤ちゃんが産まれました
そして、緊張しちゃっていたのか、皆早く起きちゃいました。
「皆、おはよう。無事に赤ちゃんが生まれたそうよ。元気な女の子ね」
「「「やったー!」」」
朝食を運びながら、侍従のお姉さんが無事に赤ちゃんが生まれたと教えてくれました。
ちびっこ軍団は大喜びで、特に妹が出来たレイカちゃんとガイルちゃんは抱き合って喜んでいました。
「ほらほら、赤ちゃんは逃げないからちゃんと朝食を食べましょうね」
「「「はーい」」」
流石は侍従のお姉さんです。
しっかりとミカエル達に注意していますね。
若干リズ達も浮かれているけど、こればかりは仕方ないですね。
ということで、しっかりと朝食を食べてから皆でジンさんの屋敷に向かいました。
「あうあう」
「「「わあ、かわいー!」」」
「ふふ、ありがとうね」
ベビーベッドに寝ているアレクサさんと同じ青色の髪の女の子に、ちびっこ軍団だけでなくリズ達も興味津々です。
アレクサさんも表情が柔和で、お母さんって感じだね。
因みに、ちびっ子軍団には辺境伯家の双子ちゃんも加わっています。
「ジン、良かったね。アレクサの血が濃そうだよ」
「ジンに似ないで、美人さんになるわね」
「そんなの分かっているよ。無事に生まれてくれば良いんだよ」
レイナさんとカミラさんもジンさんの事をからかっていますが、既に二人の父親であるジンさんは顔がニヤけながらも堂々としていました。
と、ここで僕はお仕事タイムです。
「僕、王城に行ってからカレン様を迎えに行ってきます。年末の挨拶に来る予定なので」
「間違いなく、人が押し寄せてくるな」
僕はジンさんの予想が絶対に当たると思いながら、王城に向かいました。
「わあ、ちっちゃくて可愛いなぁ」
「美人さんだね」
三十分後、アレクサさんの部屋には沢山の人が押しかけていました。
既に辺境伯様経由で王城にもアレクサさんの赤ちゃんが生まれた事が伝わっていて、カレン様を迎えに行って面会を済ませたら陛下と臨月のアリア様を残して王家の皆がやってきました。
更に僕が王城に行っている間にスラちゃんがブランダーク男爵領に行って、ルルーさんとクラヴィーアさんを連れてきました。
皆が、赤ちゃん誕生を祝福していました。
「アレクサさん、可愛らしい赤ちゃんですね」
「聖女様、わざわざありがとうございます」
カレン様が赤ちゃんに祝福を授けていたけど、カレン様にとっても待ちに待った赤ちゃんの誕生だもんね。
「ジン、名前はなんとつけたのかい?」
「アンリと名付けました。皆、母親から名前を貰っているので」
「良い名前だわ。健やかに育って欲しいわね」
ジンさんに話を聞いたティナおばあさまもニコリとする、とっても良い名前だね。
そういえば、確かにジンさんの子どもはお母さんの名前に近いよね。
「ふぇ……」
「あっ、お腹空いたって」
「それにおむつも濡ちゃったの」
ここでアンリちゃんが泣き始めて、直ぐにスラちゃんが何で泣いているかを教えてくれました。
相変わらず、スラちゃんは万能ベビーシッターでもあるね。
「じゃあ、ここはお母さん経験者が残るとしましょうか」
「あっ、私も残ります」
「ほら、チビ達は部屋から出るぞ」
「「「はーい」」」
アレクサさんがアンリちゃんに授乳するから、僕達は部屋から出ていきました。
カレン様が残るのは、将来に向けてのシュミレーションだね。
「しかし、子どもが滅茶苦茶増えてきたな。昔は、アレクとリズ位しかいなかったぞ。ミカエルも赤ん坊だったからな」
「皆さん結婚しましたからね」
「「「わーい」」」
応接室には僕とジンさんだけが残って、後は庭で追いかけっこをしています。
もう寒い時期なのに、元気な声が聞こえてきました。
年末で学園がお休みなので、ルーカスお兄様とアイビー様もちびっ子軍団の相手をしていました。
よく考えると、ちびっ子軍団のトップはミカエルになるんだね。
ミカエルも、良いお兄ちゃんだと思うよ。
「でも、これからジンさんも大変ですよね。出産祝いの返礼が」
「ははは、流石に辺境伯家みたいな事は起きないさ」
マロード男爵領で赤ちゃんに嫁を出すという、とんでもない出産祝いがあったもんね。
でもジンさん、余裕でいると凄いのが来るかもしれないよ。
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