五百九十九話 闇組織が行っていた事

 僕達はギルドの食堂で昼食を食べてから、皆で採った薬草を辺境伯領の治療研究所に納品しました。

 そのタイミングで、ティナおばあさまのタブレット型の魔導具に連絡が入ったみたいです。


「さっき捕まえた奴が色々自供したらしいわ。アレク君とルーシーとジンは、直ぐに会議に行くわよ」


 一体どんな事を自供したのか、どんな情報を得られたのかとても興味深いです。

 僕達は、皆で王城に向かいました。


「じゃあ会議に行ってくるから、皆で仲良くしているんだよ」

「「「はーい!」」」


 リズ達は、先週に引き続きエドちゃんとルカちゃんと一緒に遊んで貰います。

 とはいえ、昼食後だからミカエル達はお昼寝タイムになるかもね。

 レイナさんとカミラさんも関係者として会議に参加するそうなので、僕はスラちゃんと一緒に会議室に向かいました。


「奴は闇組織の下っ端で間違いない。ドクターが進めている、動物向けの魔獣化の薬のテストを行っていたそうだな。地域によって森の魔素が違うから、意外と動物向けの魔獣化の薬の開発が難航しているらしいぞ」


 陛下からの話は、僕達も何となく予想ができました。

 今まで魔獣化の薬って、人向けしかなかったもんね。

 動物の生育環境が違うから、同じ薬って訳にはいかなかったんだ。


「動物にしても色々な種類がいるし、一つの薬では駄目だろう。だからか、ドクターは幾つかのターゲットに絞って薬の開発を進めているらしい。そのうちの一つがクマだったと言うわけだ。後は、ウルフと猪にゴブリンなんかもターゲットにしているという」

「恐らく、魔獣化に必要な最低限の薬の量を開発したのだろう。今日のクマの件は、そのテストとみて良いでしょう」


 陛下の質問に軍務卿が続けたけど、いよいよ闇組織も色々な事をし始めてきたんだ。

 対応は人と一緒だけど、直ぐに対応できる僕達と違って普通の人は対応できないもんね。


「しかも、わざと病気になった闇組織の下っ端をターゲットにした地域を徘徊させていた事も分かった。直轄領での病気の流行も、闇組織の関与で間違いない。間違いなく、病気による国力低下を狙ったものだろう」


 この情報はとても大きいです。

 今までは闇組織の関与だろうで動いていたけど、正式に闇組織の関与が確認されたもんね。


「となると、俺達は当面は薬草採取を続けた方が良いですね」

「そういう事だ。幸いにして天候が良いから、薬草の生育も良い。今のうちに薬を用意しておく。その薬は他の病気にも使えるし、しかも保存期間が長い。五歳の祝いの後も、薬草採取を行う様に」


 冒険者関連の話もあったから、レイナさんとカミラさんも呼ばれたんだね。

 僕も今回は五歳の祝いの式典に参加しなくても良いらしいし、薬草採取に専念できるね。


「ルーシーは、五歳の祝いのメインを務めてもらう。護衛もつけるが、そろそろ公式行事を一人で行える様にならないとな」

「えー!」


 ルーシーお姉様の心からの叫びが会議室に響き渡るけど、アリア様は妊娠中だしルーカスお兄様とアイビー様は学園があるから必然的にルーシーお姉様が公式行事を行う事になるんだよね。

 とはいえ挨拶をすれば良いだけだし、身近な人で今年五歳になる人はいないから特に難しい事はないかと思うけどね。

 こうして、会議は終了しました。


「と言うわけだから、暫く薬草採取を続けるよ」

「薬草採取なら、リズにお任せだよ!」

「エレノアも頑張るの」


 今後の事を伝えたら、リズとエレノアがとってもやる気になっていました。

 特に、薬草採集名人を自認しているリズにとっては、まさに腕の見せどころですね。


「あと、スラちゃんはルーシーお姉様と一緒に五歳の祝いに護衛として参加するんだって」

「スラちゃん、頑張ってね!」


 ルーシーお姉様の護衛は強い方が良いという事で、必然的にスラちゃんが護衛につく事になりました。

 スラちゃんも、体を揺らしながらやる気満々です。

 当面は、これで大丈夫ですね。


「「「すー、すー」」」


 因みに、ミカエルとブリットとメイちゃんとリラちゃんは、ルカちゃんとエドちゃんと一緒にベッドで仲良くお昼寝中です。

 何故かルシアさんとポッキーも一緒にお昼寝しているけど、今日は皆薬草採取を頑張ったと言う事にしましょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る