五百八十八話 王都直轄領で疫病発生?
メイちゃんとリラちゃんは、僕が作ってあげたリュックサックタイプの魔法袋に薬草をしまっていきます。
「今日はいっぱい薬草が採れたわね。二人とも良かったわね」
「うん、楽しかった!」
「面白かったよ!」
とっても良い笑顔のメイちゃんとリラちゃんに、ティナおばあさまもニコリとしながら話しかけています。
メイちゃんとリラちゃんの従魔のマジカルラットも頑張って薬草を集めていたので、二人とも薬草採取をとても気に入ってくれたみたいですね。
「じゃあ、ギルドに戻るか。今日は、全員大量に薬草を集めたな」
「良いんじゃないかな? ポーションが多く作れると思えば」
「そうそう。秋になると風邪をひく人も増えるし、丁度良いわ」
ジンさんたちも、今日の収穫にとても満足していました。
同じくニコニコ顔の多くの冒険者とともに、僕達は冒険者ギルドに戻りました。
すると、何故か今日は治療研究所にいるはずのノエルさんが冒険者ギルドにいました。
しかも、少し焦っている表情です。
「王妃様、ティナ様、丁度よい所に。実は、王都の近衛部隊から王都近くの王国直轄領で疫病が発生したとの報告を受けました」
「ちょっと待っていて。うん、確かに疫病が発生したみたいだわ」
「まだ小規模みたいだわね。今なら手をうてるわ」
疫病って聞いて僕達はとても焦ったけど、王妃様とティナおばあさまは冷静にタブレット型の魔導具を使って、王城に確認をしていました。
重度の風邪みたいな疫病で、回復魔法が効きにくいそうです。
「この疫病には治療薬がございますが、大量の薬草が必要になります」
「そこに、タイミング良く薬草採取をしていた私達の存在があったのね」
「左様でございます」
うん、王妃様の言う通り本当にタイミングが良かったんですね。
という事で、僕達は一旦受付で手続き完了にしてから、皆で王都の治療研究所に向かいました。
冒険者達の集めた薬草も含めて、僕とスラちゃんのアイテムボックスに入れます。
「俺らは急ぎの金は必要としていないし、特に問題ないぞ」
冒険者には後ほどお金が降りるそうで、冒険者も納得してくれました。
ドサドサドサ。
「おお、これだけの量があれば、今必要とされている治療薬は確実に作る事ができます。新鮮なのが更に良いです」
僕達が集めた薬草を治療研究所のテーブルの上に出すと、上席研究員が助かったという表情になりました。
直ぐに他の研究員の手によって、大量の薬草が運ばれていきます。
「治療薬は多い事に越した事はないでしょう。我々は薬草採取を続けますので、あなた達は治療薬を作り現地に届けられる様に」
「王妃様のご配慮、誠に感謝申し上げます。しかし、この疫病はとても稀な病気で、我々も不思議に思っております」
上席研究員の話を聞いて、僕達の脳裏にある事が浮かびました。
「ドクターの仕業だな」
「ええ、その可能性はあるでしょうね」
ジンさんの発言に、ティナおばあさまも頷いています。
前にもドクター絡みの疫病騒ぎがあったし、僕も何となく闇ギルドがこの件に絡んでいると思っています。
「これから王城で緊急会議を行うわ。アレク君とジンも参加してね」
「闇ギルドが絡んでいる可能性があるからな」
ティナおばあさまから会議の事を言われて、僕もジンさんも頷きました。
急いで、皆で王城に向かいました。
「じゃあ僕は会議に行くから、皆で仲良くしていてね」
「「「はーい!」」」
リズ達は、ルカちゃんとエドちゃんの遊び部屋に居てもらいます。
リラちゃんとメイちゃんもルカちゃんとエドちゃんととても仲良しなので、早速皆で絵本を読み始めました。
「ルーシーは、私達と一緒に会議に行くわよ」
「えっ!」
そして、王妃様はニコリとしながらルーシーお姉様に話をしていました。
ルーシーお姉様はマジですかって表情をした後、しぶしぶといった感じで僕達の後をついてきました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます