五百八十七話 メイちゃんとリラちゃんの冒険者デビュー

 マロード男爵家を巡る婚姻騒動が落ち着いた秋のある日、僕の屋敷ではメイちゃんとリラちゃんの見守り隊が結成されました。

 メイちゃんとリラちゃんが三歳になり、僕達と一緒に薬草採取をしたいと言ってきたので冒険者登録をする事になったのです。

 とはいえ僕とリズが冒険者登録をした時よりも幼いので、皆でメイちゃんとリラちゃんの側にいようという事になりました。

 登録タイミングとしては、リズよりも半年遅れになるのかな?

 ミカエルの場合は、いつの間にか冒険者登録をしていたんだよなあ……


「てだ、このメンツは何なんだ?」

「全員が、メイちゃんとリラちゃんの護衛希望なんです」


 屋敷に来てくれたジンさんが応接室にいる人数を見て驚いているけど、実は僕も予想外の人数が集まってビックリしています。

 最初は、僕達にジンさん達とティナおばあさまくらいで良いんじゃないかなと思っていました。

 スラちゃんとプリンもいるし、メイちゃんとリズのマジカルラットも一緒にいます。

 ミカエルとブリットも、僕達についていく気満々です。

 このメンバーでも、ゴブリンキングが率いる群れでも余裕で対応できます。


「ふふ、息子達が冒険者登録する際に、警備をどうするか参考にさせて貰うわ」


 王妃様が騎士服を身に纏って話をしているけど、ルカちゃんとエドちゃんが冒険者登録するのってもう少し先だよね。

 しかも、ジェリルさんとランカーさん達近衛騎士も勿論同席しています。


「二人は、ルカちゃんとエドちゃんのお世話係になるかもね」

「私は、普通にお友達だからなの」


 当然と言わんばかりに、ルーシーお姉様とエレノアも一緒です。

 実際に、メイちゃんとリラちゃんはルカちゃんとエドちゃんの面倒を見たりしているんだよね。

 更に屋敷の外では、やる気満々のポニさん達もスタンバイしています。

 どう見ても過剰戦力だけど、皆がメイちゃんとリラちゃんと一緒にいたいんだね。

 という事で、僕達は冒険者ギルドに向かいます。

 因みに、メイちゃんとリラちゃんはちっちゃな騎士服をいつの間にか着ていました。


「遂に冒険者デビューするのかい。そりゃ、めでたいわね」


 冒険者ギルドでおばちゃんに二人の事を報告すると、おばちゃんもとても喜んでくれました。

 勿論、おばちゃんも一緒に薬草採取に行きます。


「じゃあ、俺らもついていくか」

「今日は特に急ぎの用事もないし、たまには薬草採取も良いだろう」

「アレク達の行く薬草採取は、量が採れて普通に金が稼げるもんな」


 そして、他の冒険者も僕達について行く事になり、かなりの大所帯で森に行くことになりました。

 このメンバーなら、ブランターク男爵領で起きた魔物溢れにも余裕で対応できそうですね。


「今日はとっても良い天気だね!」

「風が気持ちいいの」

「「うん!」」


 リズとエレノアが、メイちゃんとリラちゃんの手をひいています。

 ピクニックをしても、ちょうど良い天気と気温ですね。


「じゃあ、リズがメイちゃんとリラちゃんに薬草採取を教えてあげるよ!」

「エレノアも教えるの」


 そして、森に着くと早速リズが薬草採取の先生役になります。

 リズはいつも新人冒険者に薬草採取の方法を教えているから、教えるのも上手くなっているんだよね。

 ついでと言わんばかりに、他の人も監視を交代しながら薬草採取をやっています。

 というか、大人数で森に入っていて、尚且つポニさん達が若干威圧を放っているので、動物なども少し離れた所からこちらの様子を伺っているだけでした。


「しかし、何でアレク達と一緒に薬草採取をすると、こんなにも多くの薬草が見つかるのだろうか」

「本当だよな。常にこれだけの量の薬草が採れるのなら、薬草専門にしても余裕で生活していけるな」


 他の冒険者も、次々と薬草を見つけていきます。

 前にも聞いたけど、何故か他の冒険者も僕達と一緒だと沢山の薬草が採れるみたいですね。

 こうして、午前中一杯は皆で薬草採取に励んでいました。

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