転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

五百七十六話 新郎新婦の入場

　僕達は、教会の中に移動します。

　既に来賓は教会の席に並んでいて、僕は折角だからという事で親戚側の席に並びました。

「ふふ、どんな結婚式になるかとても楽しみだわ」

「あうー」

「「うぅぅぅ……」」

　商務卿夫人は、嫡男の小さな子どもを抱いてとっても楽しみにしています。

　一方の嫡男を含む商務卿の息子さん達は、未だに号泣が止まりません。

　式典までに何とか泣きやんで……

　うん、無理だろうな。

「おお、新郎のお出ましだ」

「この野郎、苦手って言いながらクラヴィーア先輩と上手い事やりやがって」

「羨ましいぞ！」

　そして、新郎であるランディさんが白いスーツに身を包んでやってきました。

　その瞬間に飛んでくるのは、主にランディさんの同級生からの羨望やヤジの数々です。

　まあ、クラヴィーアさんはとても美人だし公爵家の御令嬢という家系も超抜群です。

　男性陣のやっかみも、何となく理解できます。

　あのジェイドさんとソフィアさんの結婚式に乱入しようとした、寂しがり屋のべストール侯爵家の嫡男との婚姻が破談にならなければ、クラヴィーアさんはもっと早くに結婚していたでしょうね。

「ランディ、しっかりね！」

「ちゃんとやるのよ」

　ランディさんの同級生の男性陣に対して、ランディさんの同級生の女性陣とクラヴィーアさんの同級生はランディさんに激を飛ばしていました。

　特にランディさんの同級生の女性陣は学園を卒業してまだ一年なので結婚している人が少なく、結婚式自体に憧れている人が多いみたいです。

　そして結婚のお相手が決まっていない女性陣は、クラヴィーアさんの同級生の男性陣とお近づきになれないか、何とか頑張ろうとしています。

　この後の披露宴で、皆が仲良くなってくれれば良いですね。

「しかし、ルルーもとうとう結婚だね。お兄ちゃんとして、感じる物があるんじゃないかな？」

「そうだね。ルルーの両親代わりを自任していたけど、何だか感慨深いよ」

「……そっか」

　レイナさんは最初茶化した感じでジンさんに話をしていたけど、ジンさんはとっても感無量って感じだったから最後は茶化さないで返事をしていました。

　商務卿の家族にお世話になるまでたった二人の兄妹だったのだから、ジンさんも思う所もあるんでしょうね。

「それでは、新婦の入場です。皆様、拍手でお出迎え下さい」

「「「わあー、綺麗！」」」

「「「可愛いわ！」」」

　教会の扉が開くと、大きな拍手が沸き起こりました。

　そして、綺麗なウェディングドレスを身に着けたルルーさんとクラヴィーアさんと、一生懸命に白い花をまいているミカエル達の姿がありました。

　レイカちゃんとガイルちゃんも頑張ってリングボーイとリングガールをしているので、特に女性陣から可愛いと声をかけられています。

「う、うぅ……ぐす、ううぅ……ずず」

　そして商務卿はというと、涙を流すどころか鼻水も流して顔がぐちゃぐちゃです。

　しかし、誰も商務卿を気にしていませんでした。

「「はい」」

「ありがとうね」

「「えへへ」」

　レイカちゃんとガイルちゃんが、司祭様に結婚指輪が入った籠を無事に渡しました。

　立派に役目を果たしたレイカちゃんとガイルちゃんは、司祭様に頭を撫でられてとっても良い笑顔です。

　因みに、リズ達はルルーさんとクラヴィーアさんのベールを持って歩いています。

「うぐ、ぐぐぐ、うぐ……」

　そして商務卿が、ランディさんにルルーさんとクラヴィーアさんを渡して抱き合っていました。

　うん、やっぱりと言うか商務卿は何を言っているかさっぱり分かりません。

　そして、商務卿が親族席にやってきました。

「「「うぐっ、うぅ……」」」

「あなた達、うるさいわ」

「あうー」

　商務卿夫人が号泣している男性陣に苦言を呈しているけど、もう男性陣はどうしようもありません。

　商務卿夫人が抱いている赤ちゃんの方が、男性陣よりも全然大人しいですね。