五百六十一話 港の視察
「「「「じゃーねー!」」」」
「先に帰りますわ」
「ほほほ、良い情報を得たわ」
昼食後は、王城に帰るメンバーを王城までゲートを繋いで送ります。
ルカちゃんとエドちゃんは無料治療がとっても楽しかったのか、とっても良い笑顔で手を振っています。
ミカエルとブリットと共に、良いお昼寝ができそうですね。
閣僚も、この後陛下と共に会議を行うそうです。
港の拡張なども含めて、話し合いを続けるみたいです。
という事で、王城に戻った軍務卿に代わって軍の重鎮であるケーヒル伯爵が港の視察に行く事になりました。
「しかし、お二人とも初めてあった時よりも随分と大きくなったな」
「ケーヒル伯爵様とお会いしたのは、まだリズが四歳になる前でしたから。たまに王城で会っていましたが、僕も今年で八歳になります」
「ははは、そうだな。ソフィアの所の双子も大きくなってきたもんな」
港へ行く途中ケーヒル伯爵と一緒に話しているけど、ソフィアさんの赤ちゃんはケーヒル伯爵にとっても可愛い孫だもんね。
ケーヒル伯爵は、いつも孫宛に沢山の贈り物をしているよ。
「ジン、お前の所も今年二歳だったよな?」
「王家と辺境伯様の所と、同じ年に生まれましたから。辺境伯様の所の双子ちゃんと、いつも一緒に走り回っていますよ」
主に僕の屋敷の庭でだけど、ミカエルとブリットを先頭にしていつも庭で遊んでいるね。
メイちゃんとリラちゃんは今年産まれた弟の事が可愛くて仕方ないみたいだけど、それでも皆と元気よく遊んでいます。
メイちゃんとリラちゃんは今年三歳になるけど、秋生まれだから二歳児軍団と余り変わらないんだよね。
そんな事を思いながら、僕達は港に到着しました。
「うむ、思った以上の良港だな。湾になっているから、波の影響も少ないだろう」
港には小さいけど桟橋が作られていて、多くの漁船が係留されていました。
ポートコールの街みたいに専用の軍港はないので、この港の何処かに軍船が係留できる場所を作らないといけません。
「それでもこの港は深さが十分にあるので、浚渫工事の必要がないのは助かりますわね」
「ええ。早速、設計士に軍港の設計図をひいて貰います」
岸壁工事とかはやらないといけないけど、ティナおばあさまの言う通り浚渫工事が不要なのは大きいですね。
「どうしますか? 軍の設計士を呼んできますか?」
「うむ、そうだな。今日は日帰りで良いだろう。後日改めて、現地調査を含めて対応させよう」
という事で、僕は王城の兵の詰め所にゲートを繋いで、軍の担当者を呼び寄せました。
そして、調査を開始していると、不安そうな漁民が数人こちらにやってきました。
「あの、お貴族様。この港は軍に取られてしまうのでしょうか?」
「ナイツ子爵様でしたら、平気でというか本気でそんな事を言っておられましたので」
うん、ナイツ子爵って本当に馬鹿なんだね。
こんな良港を、港を闇ギルド専用にしようと思ったのかもしれないです。
「そんな事は絶対にないから安心してくれ。領民と共存できるように、設計士にも話をする。勿論、海賊対策もするぞ」
「それはありがたいです。私等も安心しました」
ケーヒル伯爵が領民に安心する様に言うと、領民はホッとした表情に変わりました。
ナイツ子爵領にとって、漁業は大きな収入源だもんね。
「ねーねー、今日は何が獲れたの?」
「ははは、今日はでっかい魚が獲れたぞ!」
「おお! 凄い凄い! ここのお魚は、とっても美味しいんだよね」
「嬢ちゃんは、嬉しい事を言ってくれるね」
因みに、僕とティナおばあさまとケーヒル伯爵以外のメンバーは、漁民への聞き込みをしていました。
でも、どちらかというと、美味しい魚が獲れたかを聞いています。
まあ、仲が悪いよりはずっと良いですけどね。
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