五百六十話 午前中頑張ったご褒美
そして皆頑張ったので、昼食は海鮮鍋になりました。
実は料理長さんにマロード男爵領の土鍋を見せて鍋料理が出来るかを聞いてみたら、任せて下さいって力強く言っていました。
その海鮮鍋のお味はというと……
「「おいちー!」」
ルカちゃんとエドちゃんが、おもわず満面の笑みになる程の美味しさでした。
子どもは美味しい物は美味しいと言うけど、不味いものはハッキリと不味いと言うもんね。
「おいしーね」
「うん、おいしー」
ミカエルとブリットも、とても美味しそうに海鮮鍋を食べています。
因みに、いつも鍋のときは皆で身分関係なくワイワイと食べているけど、今日は流石に侍従が全員の分を取り分けています。
「ほらほら、お野菜も一緒に食べましょうね」
「「「「はーい」」」」
王妃様が四人の小さな子どもに声をかけていたけど子どもが多いテーブルはとても平和で、リズ達やルーシーお姉様にエレノアもメアリも皆で楽しく海鮮鍋を楽しんでいました。
勿論、僕も子ども組の所で平和な昼食を楽しんでいます。
「うむ、この鍋は実に味わい深い。素材が良い味を出しておる」
「そうですな。これは、思わずお酒が飲みたくなりますな」
「マロード男爵領特産の米酒なんて、この鍋に合うかと思いますよ」
一方の閣僚陣が中心の大人組は、まだお昼なのにお酒の話が出ています。
それだけ、この海鮮鍋が美味しい証拠なんだけどね。
「おじいちゃん、お昼からお酒は駄目だよ。私達も我慢しているんだから」
「そうよ、お父様。お酒は夜飲んで下さい」
「ははは、分かっておる。王城に帰ったら、これからの事を打ち合わせしないとならないからな」
「今日は、部下に指示を出したりと忙しいからな。酒は、夜ゆっくりと飲む事にするさ」
流石に宰相と商務卿の身内であるカミラさんとレイナさんにたしなわれたけど、午後も王城に戻って忙しそうだから問題ないみたいですね。
「だが、海の幸は既に買ったぞ。夜は、屋敷の料理人に美味い物を作らせる予定だ」
「私も同じですよ。ご褒美があると、午後の仕事のやる気がアップしますな」
「「あのね……」
レイナさんとカミラさんが色々言っている身内の事をジト目で見ているけど、僕は特に問題ないんじゃないかなって思うよ。
それだけ、午後もしっかりと働くという事だもんね。
「午後は、お偉い方とチビどもは帰るんだよな。子どもはお昼寝タイムで、大人は仕事の時間だ」
「ルカちゃんとエドちゃんをチビどもって言うのは、ジンさんだけだと思うな」
〆の雑炊を堪能しているジンさんがそんな事を口にしているけど、全員目の前の雑炊に夢中で全く気にしていません。
こうして、午前中頑張ったご褒美の海鮮鍋は大好評でした。
そして王妃様や閣僚からとても美味しかったと言われた料理長は、思わず感激してむせび泣いたそうです。
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