転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

五百三十六話 ナイツ子爵領での内偵開始

　そして、スラちゃん達が目的地であるナイツ子爵領に到着しました。

　スラちゃんが僕を迎えに王城に現れたので、僕はスラちゃんと一緒にナイツ子爵領に向かいました。

　チュンチュン。

「ここがナイツ子爵領、自然豊かな領地だね」

「はい、遠くから見る限りでは、とても平和な領地に見えます」

　丘の上から街を望むけど、先行部隊の人も街の様子は特に変わりないと言っています。

　ここからはスラちゃん達が偵察活動を開始するので、先ずは手の空いていたスラちゃんとアマリリスがナイツ子爵領の街に向かっていきました。

　因みに、今日は学園が午前中で終わりなので、ルーカスお兄様とアイビー様は既に王城に帰っています。

　僕は王城にゲートを繋いで、先行部隊の人と共に会議室に向かいました。

「道中、特に不審な事は起きませんでした。また、森を通る街道を通ったのですが、たまにウルフが現れる程度でした」

「外から見た感じですが、街は普通に稼働しております。人々も街を行き交っていて、威勢の良い声が聞こえてきました」

　先行部隊の発言を、閣僚が真剣な眼差しで聞いています。

　正直に言うと、僕もナイツ子爵領はもっと荒れているかなと思っていました。

「ナイツ子爵領は、もしかしたら闇ギルドにとっては一つの拠点に過ぎないのかもしれん。その辺りを含めての調査が必要だな」

　陛下の言う通り、ナイツ子爵領のどこで何が起きているかが焦点です。

　暫くはスラちゃん達の調査を待つことになるので、会議はここで終了となりました。

「戻ったよ。あれ？　マジカルラットの子ども達はどこに行ったの？」

「スラちゃんが来て連れて行ったよ。屋敷に乗り込むんだって」

「何かを発見したってよ」

　リズ達のいる部屋に行くと、お菓子をむしゃむしゃと食べながらリズとエレノアが答えてくれました。

　まだ街に乗り込んで数時間なのに、もう何かを見つけたのか。

　護衛の為にと、ルカちゃんとエドちゃんのマジカルラットが部屋に残っています。

「にーに、ネネちゃもいーい？」

「いっしょ！」

「キュー」

「ああ、良いよ。こっちにおいで」

　ルカちゃんとエドちゃんが、マジカルラットを連れてきてルーカスお兄様とアイビー様の座るソファーにやってきました。

　ルカちゃんとエドちゃんのマジカルラットは女の子だから、ネネちゃんと名付けたそうです。

　ネネちゃんはルカちゃんとエドちゃんだけでなく王族の皆が大好きで、他の人の所にもよく行っています。

「あーあ、私も従魔が欲しいなあ」

　専属の従魔がいないルーシーお姉様は、ルカちゃんとエドちゃんの事を羨ましそうに見ていました。

　実際にはエレノアも専属の従魔はいないけど、いつもスラちゃんとかと一緒にいるもんね。

　来年にはマジカルラットのお父さんお母さんの新しい子どもが産まれる予定なので、来年まで我慢ですね。