五百二十七話 怪しい冒険者の身体検査

 しゅっ。


「あっ、スラちゃんだ!」


 と、ここで王都で執務官の仕事をしていたスラちゃんが、僕達の前に現れました。

 どうも、王都から長距離転移でやってきたみたいです。


「丁度いい所にやってきたな。一緒に身体検査を行ってくれ」

「じゃあ、リズもやるよ。宝探しは任せて!」


 リズよ、身体検査は宝探しじゃないんだよと思いつつ、リズとサンディとイヨはギルドマスターとジンさんと一緒に冒険者の体を調べ始めました。


 ごそごそごそ。


「何かあったよ!」

「変な剣だね」

「また薬があったね」


 早速リズ達が、スラちゃんと一緒にどんどん変な物を見つけていきます。

 うーん、この冒険者自体とっても怪しい気がしてきたよ。


「はっはっ、何やら怪しい奴が出たって?」

「おう、すげーのが出てきたぞ」


 と、ここで息を切らしながら冒険者ギルドにやってきたのはジェイド様でした。

 ギルドマスターが手招きをしながら、ジェイド様を僕達の方に呼び寄せました。

 ジェイド様も、僕達が見つけた様々な物を見て苦笑していました。


「この冒険者が宿泊していた宿を徹底的に調べるのだ。他の客の部屋もな」

「「「はっ」」」


 ジェイド様は、直ぐに一緒についてきた兵に指示を出します。

 宿にどれだけの証拠が集まっているかが鍵ですね。


「ねえ、スラちゃんが王城で取り調べした方が良いって言っているよ」

「だなあ。辺境伯領ではちょっと荷が重いからなあ」

「アレク君、王城にゲートを繋いでくれ」


 スラちゃんの提案にギルドマスターとジェイド様がすぐさま同意したので、僕は王城の軍のいる所にゲートを繋ぎます。

 ノエルさんからの連絡を受けていた軍の部隊が既に待機していて、早速まだ気絶している冒険者を連れていきます。

 押収したものを分析する必要があるので、軍の兵に渡しました。


「さて、今度は奴が泊まった宿の捜索だが、まさかギルド併設の宿に泊っていたとはな」

「うーん、こればっかりはどこに泊っているかは制限できませんからね」

「そうだな。こいつは角部屋だったから、隣に泊っていた奴から話を聞くか」


 捕まえた冒険者の部屋の前で僕とギルドマスターが話をしているけど、今度は兵とジンさんに混じってリズ達とスラちゃんが部屋の中をごそごそと探し物をしていました。

 まさかと思ってギルド併設の宿の宿泊者名簿を調べたら、直ぐに該当者が判明しました。


「あっ、何かあったよ」

「こっちはお金の入った袋だね」

「パンツが出てきたよ」

「お前ら、良くそんな所から色々見つけてくるな……」


 うーん、リズ達の察知能力というか勘というか、相変わらずとんでもないものがあるなあ。

 何でここにあるのって所から、次々と証拠品を押収していきます。

 リズ達と一緒に部屋の捜索を行っているジンさんも、思わず呆れています。

 まあ、証拠品が見つかるのはとても良い事ですけどね。

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