五百十四話 皆が忙しい理由

「「「「ほへー」」」」


 会議が終わって皆の所に戻るとリズ達も机の上に突っ伏して、こちらも死屍累々になっていました。

 今日も問題をいっぱい解いていたみたいで、頭から煙がでている様にも見えます。

 カミラさんの問題集を解くのが大変だったみたいですね。


「にーに、おかえりー」

「おかえりー」

「おっと、ミカエル、ブリットただいま」


 頑張って文字の書き取りをやっていたミカエルとブリットが、ちょこちょことやってきて僕に抱きついてきました。


「「ねーね!」」

「はいはい、ただいま」


 さっきまでリズ達と同じくほへーってなっていたルーシーお姉様も、絵本を読んでいたルカちゃんエドちゃんに抱きつかれてとても良い笑顔です。

 こちらはミカエルとブリットと一緒に、レイナさんが教師役で面倒を見ていました。


「おーい、今日は人数が少ないんだからこっちにも来てくれー!」

「あ、僕が行きます」

「ミカも!」

「ブリも!」


 レイカちゃんとガイルちゃんに抱きつかれているジンさんが、僕達に助けを求めていました。

 僕とミカエルとブリットが、ジンさんの所に向かいました。

 実はアレクサさんとアレア様の妊娠が発覚して、二人ともつわりが酷くてアレクサさんの所ではルリアンさんとナンシーさんが、アリア様の所には王妃様とティナおばあさまがヘルプに行っていました。

 近衛騎士と侍従も手伝ってくれるけど、今日は人手が足りないのです。

 なので、僕達も小さい子の面倒を見るお手伝いをしています。


「はいはい、じゃあ皆で昼食にしましょうね」

「「「はーい」」」


 リズ達の勉強も終わったので、食堂に移動して皆で昼食にします。

 ここでも、僕達が小さい子の食事をサポートします。


「「あーん」」

「はいはい、順番な」


 ルカちゃんとエドちゃんは、当たり前の様にジンさんにご飯を食べさせて貰っています。

 特に貴族当主は家事なんてしないという風潮もあったりしますが、ジンさんには全く当てはまりません。

 とはいえ、ルカちゃんにはルーシーお姉様がエドちゃんにはエレノアが姉として一緒についています。


「「おいちー!」」

「良く噛んで、ゆっくりと食べるんだよ」」


 僕はというと、ミカエルとブリットが頑張って一人で食べているのを見守っています。

 たまに二人の口の周りを拭いてやるけど、昔のリズの世話をしているみたいで何だか懐かしいなあ。

 でも、今でもたまにリズの口元を拭く事があるけど。


「いやはや、中々大変だったな」


 と、ここで会議を終えた陛下が食堂に入ってきました。

 肩をモミモミしながら席に座ろうとしたけど、ジンさんにご飯をタベさせて貰っているルカちゃんとエドちゃんの姿が目に入ったみたいです。

 ニコニコとしながら、陛下はルカちゃんとエドちゃんの所に向かって行きました。

 うん、大体何となく未来が見えたぞ。


「ルカ、エド、パパが食べさせようか?」

「「や」」


 皆やっぱりねって顔をしていました。

 ルカちゃんとエドちゃんは、わざと笑顔でぷいってしていました。

 陛下も分かっているみたいで、苦笑をしていました。

 しかし、陛下もパパはないかと思うよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る