五百十二話 マジカルラットの子どもの貰い先

 マジカルマウスの子どもはまだ巣立ちを迎えていない為、当面は大きいバスケットの中で生活しています。

 とはいっても既に魔法を使うだけの能力があるそうなので、スラちゃんとプリンがバスケットの中に入って魔法の使い方や従魔としての対応を熱心に教えていました。


「スラちゃんはリズと絡むといたずらっ子になるけど、責任感はとっても強いんですよね」

「執務官としてもスラちゃんは真面目に取り組んでいるわよ。この間も犯罪組織を一つ壊滅に追い込んだし」


 今日は休息日なので、ティナおばあさまとルーカスお兄様達が屋敷に遊びに来ています。

 ティナおばあさま曰く、スラちゃんが上げた功績は勲章をもらえる程らしいです。


「しかし、マジカルマウスは私も久々に見たわ。相変わらずぽてぽてとして可愛らしいわね」

「いざという時は素早く動くらしいですけど、普段はのんびりとしていますよ」


 ティナおばあさまは、マジカルマウスを愛でている一段を微笑ましく見つめていました。

 実は六匹のマジカルマウスの子どもは今まで見に来た人に興味を示していて、巣立ちをした後の従魔になる人も決まりました。

 因みに、四匹のマジカルマウスの親は屋敷にいる人共通の従魔扱いになります。

 これは、僕の屋敷とお隣の辺境伯様とジンさんの所を含みます。

 ゴールデンハムスターっぽいマジカルマウスの子どもは、ルーカスお兄様とリズ達とメイちゃんリラちゃんコンビの所に行きます。

 キンクマハムスターっぽいマジカルマウスは、ミカエルとルカちゃんエドちゃんコンビとノエルさんの所に決まりました。

 とってもマイペースなマジカルマウスの子どもがいて、何故かノエルさんと意気投合していました。


「ノエル、あんたキチンとその子を飼うことができるの?」

「クラヴィーア先輩、私とこの子はベストフレンドですよ! 私とククリちゃん位の仲ですよ」

「キュー!」

「いや、そういう事じゃないんだけど……」


 ソファーに座りながら、そのマジカルマウスを手のひらにのせてクラヴィーアさんに抗議をしているノエルさんの姿がありました。

 僕的には、リズとブッチー位の危険な香りがしている気がするよ。

 性格的には、ノエルさんとそのマジカルマウスの子どもはベストマッチしているみたいです。


「キュキュ」

「キュー」

「シュー」


 一方で、ルーカスお兄様とルカちゃんエドちゃんコンビの所に行くマジカルマウスは、先輩従魔のアマリリスとお話をしていました。

 アマリリスも身振り手振りを交えて、マジカルマウスの子どもに何かを伝えているみたいです。


「アイビー様、アマリリスはマジカルマウスの子どもに何を伝えていますか?」

「王妃様とアリア様とティナ様の言う事をよく聞く様にと言っていますわ」

「あれ? 陛下は入っていないんですか?」

「陛下は、程々に話を聞いていれば良いと言っていますわよ」


 一国の国王よりも、王妃様とアリア様とティナおばあさま優先ですか。

 まあ、王家の中のパワーバランスを考えたら、アマリリスの言っている通りになるよなあ。


「あと、時々王城内をパトロールするから、アマリリスについてくる様にも言っていますわよ」

「確かにマジカルマウスは小さいから、色々な所に入る事ができますね」


 何だかとんでもないマジカルマウス軍団が出来た気がするけど、皆との相性も良いし護衛を頑張って欲しいなあ。


「凄いねこの子、私の手の中でへそ天で寝ているよ」

「ノエル、貴方もいつもそんな格好で寝ているでしょうが」


 ノエルさんの所に行くマジカルマウスは、ある意味大物になるかもしれないなあ。

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