四百七十七話 両家に対する沙汰

 そして、ハリアー伯爵家とジェームス伯爵家の暴走から一ヶ月後、王城に全ての貴族が集められた。

 当主が王城に来られない場合でも、必ず代理を立てるように通達された。

 勿論、今回の事件の件についてです。


「我が家も王国創立以来の貴族だが、王国を足蹴にする馬鹿な事を考えた事はないぞ」

「実は私の所もそれなりに古いのですけど、そんな事は考える暇もなく領地経営で精一杯でしたので」


 僕は辺境伯様の屋敷で、ブランターク男爵家のランディさんと話をしています。

 既にある程度は説明してあるのだけど、改めてろくでもない事だと言っています。


「もしかしたら、法衣貴族ならではの考えなのかもしれませんね」

「いやいや、領地経営している貴族にも古臭い考えを持っているのはいるさ。だからこそ、全ての貴族を集めて釘をさすのだろう」


 そんな事を話しながら、時間になったので僕達は周辺領地の当主を拾いながら王城に向かいます。

 因みに、ミカエルとサンディは本人が謁見に参加します。


「はあ、何でこんな事で貴族を集めないかと思うと、本当に頭が痛いぞ」


 王城の応接室に行くと、どんよりとした陛下の姿があった。

 閣僚も、何だかどんよりとしています。


「陛下。嫌な事は、さっさと終わりにしてしまいましょう」

「そうだな。さっさと終わらせるか」


 辺境伯様の言葉に応えるかの様に、陛下はよっこらしょっとソファーから立ち上がった。

 嫌な事はさっさと終わらせましょう。

 という事で、僕達は謁見の間に移動します。


「既に皆も知っていると思うが、改めて此度の事件を報告する」


 流石に陛下も、謁見の間にある玉座に座るとキリリとします。

 事件の処分内容は、内務卿から報告されます。


「では、今回の事件に伴う処分を報告する。ハリアー伯爵家とジェームス伯爵家は取り潰しの上、全財産没収とする。家族にも相応の罪があったので、厳正に処罰する」


 家中の者も、厳罰に処されるという。

 王国兵に戦闘を仕掛けたくらいだもんなあ。

 因みにハリアー伯爵家とジェームス伯爵家の財産整理をしたら、殆どの借金が消えたそうです。

 屋敷を捜索したら、宝石がゴロゴロと出てきたそうですよ。


「バンクス伯爵家に嫁いだ正妻と側室についても、終生の教会送りとする。バンクス男爵家より嫁いだ側室の子を新しいバンクス伯爵家の当主とし、正妻と側室の子は継承権を剥奪する」


 とはいっても、正妻と側室の子の貴族の資格は残っています。

 レガリアさんとマルシェさんなら、三人の赤ちゃんをキチンと養育できると判断した様です。

 更には、バンクス男爵家がキチンと商会を管理しているので、三人の赤ちゃんの養育にかかる資金も全く問題ありません。

 そして、陛下が玉座から立ち上がった。


「ハリアー伯爵家とジェームス伯爵家が長い歴史に胡座をかいていた事も許せんが、何よりも許せないのが両家が武装兵を率いて赤子を殺害しようとしたことだ。貴族の継承権については問題を起こさない限り王国は口を出さぬが、今回の件は言語道断だ。金に目がくらみ、大事なものをはき違えない様に、諸君らも肝に銘じよ」

「「「はっ」」」


 これにて謁見は終了です。

 陛下の言葉が、全ての貴族に届いていれば良いな。

 色々と考えさせられる事件だったけど、レガリアさんとマルシェさんと三人の赤ちゃんの命が守られて良かったと心から思いました。

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