四百六十六話 結婚式の翌日はゆっくりとしょう

 ジンさんとアレクサさんの結婚式の翌日、僕は久々にのんびりしています。

 フリーダムな結婚式だったから、本当に疲れたなあ。

 屋敷の庭では、リズとミカエル達が元気よく遊んでいます。

 ジンさんの所のレイカちゃんも一緒に混じっています。


「若いっていいなあ」

「何言ってるのよ、アレク君。子どもなのに、まるでお爺ちゃんみたいよ」


 思わずボケーっとしながら庭を見つめていたら、ティナおばあさまが苦笑しながら答えていました。

 だって、本当に疲れたんだもん。


「まあ、来賓も多かったし、普通の結婚式じゃなかったからね。私もちょっと疲れたわ」

「僕も魔力は回復したんですけど、ちょっと気疲れが。今日は一日ゆっくりしています」

「たまにはそんな日もあっていいわよ。のんびりする日も大切よ」


 という事で、僕とティナおばあさまは元気よく遊んでいるリズ達を見つめている事にしました。

 たまにはこんな日もあっていいよね。

 って、思っていました。


「うがぁ……」

「まさか二日酔いがここまで酷いとはね」

「しこたま飲まされたからね。まあ、理由は言わずもがなだけと」


 隣の屋敷から助けてと連絡が入ったので、僕はジンさんの屋敷のリビングに入りました。

 ソファーには、ぐったりとしている顔色の悪いジンさんの姿がありました。

 ジンさんもある意味動きたくないだろうなあ。

 なので、僕はジンさんに回復魔法をかけます。


「はあ、だいぶ楽になった。あいつら遠慮なく飲ませやがってよ」

「まあ、何となく独身冒険者の気持ちは分かるかな」

「アレクサは、スタイル抜群の美人だもんね」

「流石に分かっているよ。はあ……」


 レイナさんとカミラさんは、少しニヤニヤしながらジンさんに話しかけていました。

 そういえば、アレクサさんの姿が見えないな。

 どこに行ったんだろう?

 すると、アレクサさんが袋を抱えながらリビングに入ってきました。


「ただいま戻りました。ジンさん、薬を研究所から頂きました」

「悪いな。早速飲むか」


 どうやらアレクサさんは、ジンさんの為に治療研究所に行っていた様です。

 早速薬を貰ったジンさんは、コップに入った水と共に薬を飲んだ。


「うわ、苦い!」

「良薬は口に苦しですから。これでゆっくりすれば良くなりますわ」

「ああ、そうするわ」


 薬を飲んだジンさんは、しかめっ面をしながら屋敷の奥に消えていきました。

 ジンさんも、今日一日はおとなしくするそうです。


「ジンもおとなしくなったし、子ども達と遊ぶとしましょうか」

「そうだね。楽しそうな声が、ここまで聞こえているね」

「アレク殿下も一緒に行きましょう」


 僕はアレクサさんに手をつながれながら、レイナさんとカミラさんとジンさんの屋敷を出ました。

 もう直ぐ昼食ですし、それまではリズ達と一緒に遊びます。

 こうして、ジンさんとアレクサさんの結婚式の翌日は、皆でゆっくりと過ごす事にしました。

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