四百二十九話 イヨと共に冒険者ギルドへ

 今日は、イヨの歓迎会を辺境伯様の屋敷で行います。

 でも歓迎会は夕食時なので、日中は特に用はありません。

 という事で、イヨの冒険者登録を兼ねて久々の薬草採取を行ないます。

 王族の方々は歓迎会の時にくるので、薬草採取は不参加です。


「薬草って、どうやってとるのかな?」

「リズがちゃんと、薬草の採り方を教えてあげるよ!」

「私も教えて上げるね」

「リズ、サンディ、ありがとう」


 イヨは薬草採取も初めてなので、リズとサンディが色々と教える気満々だ。

 因みにイヨは闇魔法特化型の魔法使いで、ケープを羽織った魔法使いの格好をしています。

 リズとサンディは騎士服を着ることが増えてきて、今日も騎士服を着ています。

 僕はいつもの冒険者の服装です。


「チビ共は元気だな」

「ちび?」

「ども?」

「子ども達って事よ」

「「おおー!」」

「元気ねー」

「ふふ」


 今日はミカエルとブリッドも、ブッチーに乗って薬草採取についてきます。

 ジンさんとレイナさんとカミラさんがミカエルとブリッドに話をしているけど、とっても和やかでピクニックに行く様な感じです。

 因みにルリアンさんとナンシーさんに加えて、ルルーさんとクラヴィーアさんも屋敷に残って赤ちゃんのお世話をしています。

 その代わりに、ずっと屋敷の留守を守ってくれたチセさんが僕達と共に同行しています。

 暫くは僕達の予定も空くので、今後はチセさんとも冒険者活動したいな。


「あら、リズちゃんじゃない。新しい子かな?」

「そうだよ。イヨちゃんって言うんだよ!」

「こんにちは」

「そうかい、そうかい。お人形さんみたいに可愛らしい子だね」


 商店街のおばちゃんからもイヨの事を聞かれているし、イヨも普通におばちゃんに挨拶をしていた。

 イヨは相変わらず無表情だけど、こればっかりはしょうがない。

 イヨがおばちゃんに笑って挨拶出来るようになる為に、僕も頑張らないといけないな。


 そんなこんなで、僕達は冒険者ギルドに到着です。

 先ずは、受付でイヨの冒険者登録を行ないます。


「おや、あの子は新しい子なのかい?」

「いよちゃ!」

「イヨって言うのね。可愛らしい子だね」


 僕達がイヨの冒険者登録に付き合っていると、ミカエルとブリッドの所にいつもの冒険者のおばちゃんが来ていた。

 まあ、チセさんとプリンがミカエルとブリッドの側にいるし、特に問題はないだろう。


「いよちゃは、にーにのことがちゅき!」

「だから、まだ良く分からないの」

「おやおや、まあまあそうかいそうかい」


 ミカエルは張り切ってイヨの事を紹介しているつもりだけど、微妙にズレていた。

 冒険者登録を終えたイヨがミカエルの発言を訂正していたけど、おばちゃんはイヨの事を温かい目で見ていた。


「くそ! アレクはまだ小さいのに、これで何人目だよ」

「ハーレムキングに益々磨きがかかっているのか」

「あーあ、私の所に王子様が現れるのは何時なのだろうか……」


 ギルドの一角で何かブツブツと言っている人がいるけど、特に気にしないでおこう。

 そして、ここでミカエルが特大爆弾を投下した。


「じーとアレちゃもちゅき!」


 ジンさんとレイナさんとカミラさんが、ミカエルの特大の爆弾発言を聞いて固まってしまった。


「うん? ジンと誰だって?」

「アレちゃ!」

「アレちゃって、お兄ちゃんの事?」

「ちがーう。おっきいねーね!」


 そして、おばちゃんの質問にミカエルは素直に答えてしまった。

 ミカエルの発言を聞いて、ギルド内にいた人の視線が一斉にジンさんの方に向いた瞬間だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る