四百二十八話 懐古派との戦いの終結
そして、イヨとアレクサさんの事が決着してから五日後、遂に懐古派の砦が陥落しました。
僕とジンさんとティナおばあさまは、戦況の確認の為にレリーフ枢機卿と話し合いをします。
因みにリズ達は、軍の病院で怪我人の治療をしています。
カレン様も兵の治療をする為に、皇都から来ています。
「皆様が治療して下さった兵の増援が、砦を一気に落とすのに一番効果があったそうです。聖女様や天使様がついていると、兵の士気が高まった様です」
「僕達も頑張って治療したかいがありました」
既に陥落寸前の懐古派と士気が高い教皇国兵とでは、やる気が全く違うよね。
結局闇ギルドの関係者は全くおらず、捕まったのは懐古派の関係者だけだったという。
「イヨの両親は、教会が責任を持って手厚く葬りました。あの子も懐古派の被害者でしょう」
「ただ、今はイヨを両親のお墓参りに行かせるのは酷ですわね。もう少しイヨが落ち着いてからの方が良いでしょう」
「私も同感ですわ。幸いにして、皆様と良い関係を結べているようで、とても有難く思っております」
ティナおばあさまの言う通り、今はイヨの両親のお墓参りをするのは難しいだろう。
僕も両親のお墓参りに行くのを、中々踏み切る事が出来なかったよなあ。
頑張って、イヨの心のケアをしてあげないと。
「それから、導くもの様とアレクサの婚姻を教会を上げて歓迎するのですが、アレクサの仕事の引き継ぎがありますので、三月末頃まではアレクサは教皇国にいる事になります」
「別に時期を気にしないで良いぞ。キチンとやる事をやってくれ」
「導くもの様のご配慮に感謝いたします」
アレクサさんは、現役の皇都のシスターさんだ。
しかも大教会にいるのだから、他の人への仕事の引き継ぎもある。
ジンさんの言う通り、焦らずにやって欲しい。
「皆様におかれましては、教皇国をお救い下さり本当にありがとうございます。御礼申し上げます」
「教皇国の安定は王国にとっても重要な事ですので、レリーフ枢機卿もお気になさらずに」
懐古派が国境を越えて王国で騒動を起こす可能性もあったから、今回の件は王国にとっても意味のあった事だよね。
実際にサーゲイロード辺境伯領では、懐古派による諜報活動が行われていた。
まだ闇ギルドは無くなっていないけど、今回の懐古派の制圧は大きな意味を持っていた。
という事で、話し合いも終わったので、僕達はカレン様とアレクサさんを皇都に送ってから王城に向かいます。
「教皇国での懸念が無くなったのは、王国にとっても良い事だと捉えよう。闇ギルドの動向を探る事に注力できる」
陛下の考えも僕達と一緒だった。
王国への脅威が、確実に一つ減ったのだからだ。
「ともあれ、ご苦労だった。ジンは結婚式の準備もしないとならないな」
「教皇様が大教会で結婚式をやろうと言っているんですよ。しかも、自ら神父役をやると言ってきていますよ」
「ははは、その位はやらせてやるがよい。神父役で両国の絆が強まるのであれば、教皇にとっても安い仕事だ」
ジンさんのボヤキも分かるなあ。
実際には、カレン様も二人の結婚式で何か役をやりたいと言っている。
教皇国にとっても、ジンさんの結婚式は一大イベントになりそうだ。
陛下との話し合いも終わったので、僕達は辺境伯領の屋敷に帰ります。
因みに、イヨの歓迎会は三日後を予定しています。
流石に皆疲れたので、僕達も今日明日はゆっくりする予定です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます