四百十五話 オカマさんとの話し合いの始まり

 そして、いよいよオカマさんとの話し合いの時間になりました。

 僕達は、教会の附属施設から教会の中に移動します。

 教会の中は、レリーフ枢機卿が人払いを命じているのか誰もいません。

 夕日が差し込む教会の中で、僕は長椅子に座っています。


 キィー。


 そして僕達が教会に着いて十分位したら、突如として教会の扉が開きました。

 現れたのはオカマさんで、小さな子と手を繋いでいます。

 黒髪のおかっぱで、何だか日本人形みたいな女の子です。


「おまたせ。この子も話に関係あるのよ。だから連れてきたのよ」


 オカマさんはこの女の子も話し合いに関係あるというけど、一体誰なのだろうか?

 どうもアリア様もティナおばあさまも、勿論レリーフ枢機卿も女の子の正体を知らないみたいだ。

 そして、オカマさんは僕達と反対側の長椅子に座って、女の子を膝の上に乗せた。

 女の子は無表情で僕達の事を見つめていた。

 うーん、まるで女の子に表情がないみたいだぞ。


「アリア様もお久しぶりね。お子様が生まれたそうね」

「ええ、ヤンチャな男の子よ」

「子どもは元気が一番よ」


 アリア様とオカマさんが話をしているけど、何だかおばちゃんの井戸端会議の様だぞ。

 子どもの事で、にこやかに話をしている。


「本当はあのスキンヘッドも連れてきたかったのだけど、今日はお店が忙しいらしいのよ」

「お店って、どんなお店ですか?」

「居酒屋なのよ。とっても美味しいお酒を出すのよ」


 あのスキンヘッドもお店を出しているのか。

 居酒屋の店主なんて、スキンヘッドにピッタリだ。

 というか、闇ギルドの人はお店をやっている人が多いのかな?

 取り敢えず挨拶はここまでにしておいて、早速本題に入ります。


「最初に言っていくけど、闇ギルドは組織としてはほぼ崩壊しているわよ」

「「「えっ?」」」


 オカマさんの言葉に、僕やジンさん達はびっくりしている。

 レリーフ枢機卿やアレクサさんも、僕達と同じ様にかなり驚いていた。

 対して、アリア様とティナおばあさまは、その情報を知っているかの様な様子だった。


「あら、アリア様とティナ様は驚かないのね」

「ええ、本日辺境伯領で捕えた不審者からの情報がありますから」

「俺達は新たに生まれ変わった組織だって、そう言っていたらしいわ」

「ふーん、その情報はあえてアレク君には言わなかったみたいね。流石だわね」


 どうもアリア様とティナおばあさまは、僕達にあえて重要な情報は話さなかった様だ。

 まあ、僕はともかくとして、リズや他の人から情報が漏れる可能性は否めないな。

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