四百七話 不穏な気配?

 三日目も旅はかなり順調に進み、またもや昼食を食べる村を通り過ぎてしまった。

 でもご安心を、今日はルルーさんが僕達の旅に同行しています。

 アレクサさんもルルーさんと一緒に料理を手伝っています。


「お野菜を切りますね」

「では、私はお肉を切りますわ」


 ルルーさんとアレクサさんは、二人並んで仲良く料理をしています。

 二人とも料理が上手なので、お鍋からは良い匂いがしてきました。


「良い匂いだね」

「アレクサさんの料理の腕は中々だね」

「おい、お前らが料理の腕を語るな」

「「何で!」」


 うん、僕もレイナさんとカミラさんが料理の腕を語るのは違うと思うよ。

 とはいえ、料理が出来たので皆で食べます。


「いやあ、旅に出ているのに豪華な食事が出てきているなあ」

「やっぱり、本職のメイドさんは一味違うなあ」


 レイナさんとカミラさんの言う通り、ちょっとしたコース料理が出てきたのだ。

 前菜にメインディッシュにご飯とパンも選べる。

 

「美味しいよ!」

「本当に美味しいね」

「良かったね、沢山食べてね」

「「うん!」」


 リズもサンディも、美味しそうに昼食を食べていた。

 そりゃ、僕やスラちゃんが作る料理とはレベルが違うだろう。

 

「ルルーも料理の腕を上げたわね。アレクサの料理の腕も中々のものよ」

「「ありがとうございます」」


 ルルーさんとアレクサさんの料理は、ティナおばあさまも太鼓判を押していた。

 皆大満足で、昼食を食べ終えた。


「いやあ、お腹も膨れたし旅も順調だし、いうことないね」

「敵地に向かうのがなければ、本当に気持ち良い旅だね」


 再び走り出した馬車の中で、レイナさんとカミラさんがくつろいでいます。

 スラちゃんとプリンもだらけているので、周囲には危険がないのだろう。

 天気も良いし、本当に気持ち良い旅です。


「何だか緊迫した地域に向かう旅じゃないですね」

「もしかしたら、懐古派はかなり押されているのだろうな」


 僕の問いかけにジンさんが答えてくれたけど、道中は動物と遭遇するだけで本当に何も起きていない。

 もう懐古派は、他をかまう余裕もないのかも知れないな。


 そして、本当に何も起こらないまま三日目の旅も終了です。


「このペースなら、明日の昼前には目的地に到着しそうです」

「早く着く分には問題ないな。その分の時間を調査とかに使える」


 辺境伯領の辺境伯様の屋敷に戻ってきた僕達は、明日の事について話し合います。

 僕も、早く現地に着く分には全く問題ないと思っています。

 というか、別の問題の方が大きいです。


「「「「くしゅん、くしゅん」」」」

「あらら、皆風邪ひいちゃったかしら?」


 グランドちゃんとガリバーちゃんだけでなく、ミカエルとブリッドまでくしゃみと鼻水を出していた。

 ミカエルとブリッドは、お兄ちゃんお姉ちゃんとしてグランドちゃんとガリバーちゃんの看病のフリをしていたからなあ。

 こればっかりは仕方ない。


「明日になれば、治療研究所で飲み薬が作れるそうです。どうも、街でも子どもが風邪っぽい症状を訴えているそうです」

「ふーん、なんか気になるな。年末に風邪は流行したが、今は風邪は流行ってないぞ」

「そうね、何かあるかもしれないわね。王都にも確認したけど、特に何も起きていないそうよ」


 ノエルさんの報告を聞いたジンさんが、何かあるのではと勘ぐっていた。

 ティナおばあさまも王城を通じて王都の状況を確認したけど、王都や周辺地域では何も起きていないという。


「直ぐに兵に不審者の捜索をさせよう。何か良からぬ事をしている奴がいるかもしれない」

「明日は私も捜索に加わります。近衛騎士として動かないとならない時です」


 辺境伯様も直ぐに動いてくれて、ノエルさんも明日は調査に加わるそうだ。

 うーん、辺境伯領で一体何が起きているのだろうか?

 懐古派の砦の件よりも、辺境伯領の件の方が問題な気がしてきた。

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