四百二話 アレクサさんの憂い顔
小さな村に着いた僕達は、食堂が併設されている宿に向かいます。
「あの、田舎料理なんですけど、問題ないですか?」
「全然問題ないよ!」
アレクサさんが提供される料理の内容について聞いてくるけど、リズが答えた通り全く問題ない。
料理を提供する場所がなければ、自分達でも食事は作ります。
という事で、食堂に入ります。
「あいよ、焼肉定食おまち!」
「わーい」
お肉がメインの食堂だけど、うちのメンバーはお肉大好きなので早速食べ始めている。
そんな僕達の食べる姿を見て、アレクサさんもホッとして焼肉定食を食べ始めた。
「まあ、あれだ。俺達は食べられるメシなら気にしないぞ。レイナとカミラなんか、まっ黒焦げのデス料理を出してくるし」
「「失礼な!」」
「へぶし」
あーあ、ジンさんが余計な事をいうから、ジンさんの両サイドに座っていたレイナさんとカミラさんがジンさんの顔面に裏拳を浴びせていた。
レイナさんとカミラさんが容赦なく殴るから、ジンさんは鼻血を出しているぞ。
「ふふふ、皆様仲が良いですわね」
三人のやり取りを見たアレクサさんが、微笑んだ後何故か寂しそうな表情をした。
「「「ふーん」」」
アレクサさんの寂しそうな表情を見た女性陣は、何かを感じ取った様だ。
何だか怪しそうな表情でアレクサさんを見ているぞ。
絶対にあの顔は、何かを企んでいる表情だ。
「お兄ちゃん、お肉美味しいね」
「うん、そうだね」
リズはお肉に夢中で、ジンさん達とアレクサさんのやり取りを見ていなかった。
因みにスラちゃんは他の女性陣と共に何か気がついたらしいけど、プリンはリズと同じくお肉に夢中だった。
「では、午後は魔法のコントロールを中心に訓練しましょう」
「「はい!」」
道中もオオカミ程度しか出てこないので、引き続き馬車の中でアレクサさん向けの魔法訓練を行います。
他の女性陣を見るに、先程アレクサさんの見せた表情の件では特に何も言わないようだ。
因みに暇になったリズとスラちゃんとプリンも、アレクサさんと一緒に魔法の訓練を行うようです。
スラちゃんとプリンも、触手を上げてやる気満々です。
「最初は魔力玉の大きさを変える訓練ね。リズちゃん達は、複数でやってみましょう」
「はい」
「はーい」
僕も昔にカミラさん達の魔法講習で教わったな。
中々魔法玉の大きさを変える事が出来なくて、凄く苦労したよ。
アレクサさんも、魔法玉の大きさを変えるのに苦労している。
一方のリズは昔からずっと魔法訓練をしているので、今では魔力玉の大きさを変えるのもお手のものだ。
スラちゃんとプリンも、魔力玉を複数出して魔力操作をしている。
すると、リズがアレクサさんに声を掛けた。
「アレクサさん、リズもね最初は全然出来なかったんだよ。いっぱい頑張ったら、出来るようになったんだ」
「リス様も頑張ったんですね。私も頑張ってみます」
「アレクサさんなら、きっと直ぐに出来るようになるよ!」
リズの励ましもあってか、夕方になる頃にはアレクサさんも魔力玉を少しだけ動かせる様になっていた。
この感じなら、アレクサさんは他の訓練も上手く行きそうだね。
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