三百四十九話 お兄ちゃんレベルアップ
午前中で燃え尽きてしまった辺境伯様と情けないと愚痴をこぼすイザベラ様を辺境伯様の屋敷に送った後、皆で昼食にします。
調理場の試験を兼ねて、新しい家で料理を作ります。
「そして、何故僕が料理を作る事になるのか……」
そう、シスターに混じって、何故か僕も料理をする事になったのだ。
「にーにのごはんはおいちぃ」
「私も食べてみたい」
「僕も食べてみたい」
ミカエルの一言により、孤児院の子どもが僕の作ったご飯を食べたいと言ってきたのだ。
メインはシスターに任せて、僕は簡単な野菜炒めにしておこう。
そしてこの間バザール子爵領に行った時に手に入れた、万能ソースを使ってみよう。
「アレク殿下、とても料理がお上手ですね」
「はは、常にお腹を空かせているのがいるので……」
シスターにも料理の腕前を褒められるけど、うちにはリズにサンディにミカエルもいるもんな。
特にプリンなんて、作ったら直ぐに食べられちゃうし。
そんな事を思いながら、料理は完成。
さてさて、お味はというと、
「「「おいしー!」」」
好評の様で何よりだった。
「みかしゃん!」
「ぶりしゃん!」
午後の掃除を始める前に、すっかり元気になったブリットが参加します。
うーん、ミカエルと抱き合っているのを見ると、お互い相性が良い様にも見えるなあ。
「あらあら、ミカエルちゃんの良い人候補ね。しかも聖女様候補って所が凄いわ」
あの、アリア様?
思いっきり微笑ましい笑顔でミカエルとブリットの事を見ていますが、二人はまだ二歳ですよ。
「ミカエルちゃんは、リアル王子様だったもんね」
「あれをされたら、女の子は落ちちゃいますよ」
だからアイビー様にカレン様。
羨ましいとか微笑ましいとか言っていますけど、二人はまだ二歳ですよ。
因みにシスターは、まだ検査とかあって医療機関に入院しています。
それでも教皇選挙が終われば退院できるそうだ。
という事で、午後は主に家具や服などを運ぶのだが、これがとても楽ちん。
というのも、プリンが荷物をアイテムボックスにしまって、部屋に着いたら荷物を出せば良いのだ。
そんなプリンの様子を見ていたリズが、僕にポツリと一言。
「お兄ちゃん、お兄ちゃんはアイテムボックスを使えないの?」
うん、お兄ちゃんのちっぽけなハートに火がついたね。
というか、スラちゃんはともかくとして、プリンまでアイテムボックスを使えたのにはちょこっと嫉妬してました。
という事でチャレンジしてみます。
「確かスラちゃんが言うには、荷物を自分の内側にしまう感じって言っていたよね」
先ずは、タオルなどの小さい物からチャレンジ。
自分の内側にしまう感じて、タオルをしまってみる。
シュッ。
「あっ、できちゃった」
お次は頭の中にリストを出して、何を出したいかを選ぶ。
シュッ。
「おお、タオルが出てきた!」
「お兄ちゃん、凄い!」
「アレク様、流石です」
意外と簡単にアイテムボックスが使えてしまった。
呆気に取られている僕に、リズとサンディが抱きついてきた。
「元々アレクの力なら、アイテムボックスくらい余裕だろう。どれだけの物が入るかは、試してみないと分からないがな」
「そうね。ゲートが使えてアイテムボックスが使えなかった方がおかしいのよ。容量の差はあるとはいえ、アイテムボックスを使える人は珍しくはないわ」
ジンさんとティナおばあさまにも、やっとできたって感じで言われてしまった。
ともあれ、これで僕とプリンで二倍の量を運べる様になった。
次々と部屋に荷物や家具を置いていった。
「おお、お部屋になったね」
「でも、まだまだ荷物が足らないね」
夕方になって何とか部屋の形にはなったけど、実は屋根や壁の補修が終わらなかった。
明日は教皇選挙で街の人も一日忙しいので、明後日以降に作業再開となった。
今日はここまでにして、アリア様やルーカスお兄様達を王城に送ってから大教会に戻ります。
大教会に戻って問題発生。
何と、今日明日と孤児院の人達が迎賓館を使えないという事が分かったのだ。
「各地から司教や有力な司祭が来ておりまして。アレク殿下のお部屋は元々確保してあるのですが、今回は完全にイレギュラーでして。街も宿泊施設の空きがないのです」
申し訳ない様に話すレリーフ枢機卿だったが、そうなれば空いている所に泊まって貰えば良い。
「なら、僕の屋敷に泊まってもらいます。ちょうどサンディとミカエルも送らないといけませんし、相部屋になりますが部屋は空いていますので」
「重ね重ね申し訳ありません」
確かに、街に繰り出している人が多いんだよね。
ポニさん達も戻ってきたし、先ずは僕の屋敷に招待です。
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