三百三十九話 教皇様と会食

 そろそろ夕食の時間だというので、僕達はお風呂に入ってさっぱりしてから夕食に向かう様にします。


「にーにとねーね、おふろ!」

「そうだね、ミカちゃん」


 久しぶりに僕とリズと一緒のお風呂になるので、ミカエルのテンションは高めだ。

 何となくサンディもテンションが高い様に見えるぞ。


「皆、仲が良くて良いですね」

「とても可愛らしいですわね」


 お風呂には、シェジェク伯爵とクレイモアさんに近衛騎士も一緒です。

 仲良く一緒にお風呂に入る僕達の事を、微笑ましく見ています。

 因みにジンさんは、男性用のお風呂に近衛騎士と一緒に入っています。


 そして、お風呂から上がったら夕食なのですが、僕達と一緒に食べるという教皇にサンディとミカエルの事を紹介します。

 因みに僕達についてくれている侍従経由で、サンディとミカエルがここにいる事を伝えています。


「教皇様。僕とリズの従兄弟でバイザー子爵家当主のミカエルと、ロンカーク伯爵家当主のサンディです」

「教皇様、サンディと申します。お会いでき、光栄です」

「ミカでしゅ!」

「おお、元気よく挨拶ができたのう」


 教皇は目を細めてミカエルの頭を撫でていた。

 ミカエルも挨拶ができて、とても満足そうだ。


「教皇様、お久しぶりでございます。シェジェク伯爵でございます」

「娘様がご懐妊とか。伯爵家も幸せが満ちておる様じゃのう」


 シェジェク伯爵は、まだ独身だった時に教皇国にきた事があるそうだ。

 その際に、まだ枢機卿だった教皇と会った事があるという。


「教皇様、初めまして。クレイモアと申します。ご尊顔を拝見し、恐悦至極でございます」

「共和国も大変な中、よく来られた。教皇国を代表し、感謝申し上げる」


 クレイモアさんは、教皇国に来た事はあるらしいが教皇とは初めて会うそうだ。

 緊張した面持ちで、教皇と話をしている。


「こうして各国から才能溢れる人材が集まってくれた事を心強く思う。我が国の行く末を、どうか見守って下さい。それでは、乾杯」

「「「乾杯!」」」


 教皇の挨拶で、僕達の歓迎を兼ねた夕食が始まった。

 教会主催とあって派手な食事ではないが、とっても美味しい食事です。


「にーに、おいちー!」

「良かったね、いっぱい食べな」

「うん!」


 子ども用の料理も用意してもらい、ミカエルも美味しそうに食べています。

 最近は頑張って自分で食べようとするのだが、口の周りがべたべたになっているので僕が拭いてあげます。


「お兄ちゃん、これ美味しいよ!」

「アレク様、久々に一緒の食事で嬉しいです」


 リズとサンディも、モリモリと出された食事を食べています。

 サンディとは昼食も一緒だったけど、やはり僕達が不在で寂しかったんだな。

 

「本当にアレク殿下と周りの人は、とても仲が良いですな」


 教皇からも、僕達の仲の良さを羨ましそうに見ている。

 ルーカスお兄様達も含めて、皆仲良しだよね。


 こうして和やかな雰囲気で夕食が終わったのだが、明日の事で予定変更があるという。


「明日はアレク殿下と会談の予定だったが、ティナ殿下とシェジェク伯爵とクレイモア殿と会議を行う事になった。アレク殿下には悪いが、教会の者と共に炊き出しと治療をしてくれぬかのう」

「はい、分かりました。何やら大事な会議の様ですね」

「そういう事だ。カレンも一緒に連れて行ってくれぬかのう」


 大人だけの重要な会議の様だ。

 ここはティナおばあさまにお任せしておこう。


「ジン、あなたはアレク君と聖女様の護衛ね」

「そっちの方が有難いです。俺は話し合いには向かないので」

「そんな事はないわよ。どう? トップ会談に参加する?」

「いやいやいやいや、無理です無茶です遠慮します」


 うーん、ジンさんならトップ会談に参加しても問題ない様な気もするけどな。

 ともあれ、明日のジンさんは僕達と一緒に炊き出しです。

 因みに念の為という事で、ティナおばあさまが陛下に明日のカレン様が炊き出しに参加する事を連絡してくれました。


 そして明日は朝早いので、早めに就寝します。

 サンディとミカエルを僕の屋敷に戻そうとしたけど、ミカエルがあっという間に寝てしまったのだ。


「無理に屋敷に戻す事はないでしょう。ベッドも広いし、皆で寝ましょうか」

「やったー!」


 久々に皆で就寝です。

 ミカエルは僕に抱きついて寝てしまったので、反対側にサンディがいます。

 こんな感じで、皇都での一日目は終了しました。

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