三百二十七話 誕生日パーティの予定
「赤ちゃんはもう少し優しく抱きましょうね」
「さあ、オムツの交換ですよ」
「「はい!」」
宰相と商務卿から釘を刺されてから、レイナさんとカミラさんは侍従の赤ちゃんのお世話を手伝っている。
うん、侍従のお姉さんの口調は丁寧だけど結構スパルタだなあ。
ナンシーさんとルリアンさんは一通り赤ちゃんのお世話ができるらしいし、ジンさんは赤ちゃんをお風呂に入れる事もできるという。
僕とジンさんが教皇国に行くまでの間で、最低限の赤ちゃんのお世話を覚えてもらいたい。
そして、僕は誕生日パーティーが近づいてきたので、王城で衣装併せです。
教皇国でも着るという少し豪華な服で、同じく教皇国に行くリズもドレスの衣装併せをしています。
「やっぱりアレク君は青っぽい服が似合うわね」
「リズちゃんは、薄いピンク色にしてみましょうね」
「「はーい」」
採寸は済んでいて服はできているのだが、実際に出来上がった服を着て細かい所を微調整していきます。
動けないから、この時間が大変なんだよね。
一時間ほど僕とリズはマネキンとなっていたのだった。
「「はあ、疲れた……」」
今日は着せ替え人形じゃなかったけど、やはり動かないのは苦痛だ。
食堂に移動した僕とリズは、ぐったりとなってしまった。
「こればかりは、慣れる事はないなあ」
「うー、疲れたよ」
同じく衣装合わせをしていたルーカスお兄様とルーシーお姉様も、僕の横でぐったりしていた。
やっぱりずっと動かないのは嫌だよね。
「ほら、昼食を食べたらスケジュールを確認するわよ」
「「「はーい」」」
王妃様がルカちゃんを抱っこしながら、僕達に声をかけてきた。
ルカちゃんも首が座ってきて、随分と大きくなったなあ。
という事で、昼食を食べたら僕とルーカスお兄様とルーシーお姉様に来賓予定のカレン様が、王妃様とアリア様と共に当日のスケジュールを確認します。
「昨年と特に変わりは無いけど、この前ムノー男爵が聖女様歓迎式典で暴走した影響もあって、貴族主義の連中は軒並み欠席だわ」
「もう、その情報だけでとても安心できます」
「教会関係も司教様と辺境伯領の司祭様だけ参加するわ。懐古派対策ね」
不安要素がなくなっただけでも、とても安心できるなあ。
貴族主義の連中も懐古派もいないのは、警備する上でも楽になるだろう。
「今回はルカとエドが生まれたから挨拶の際に祝いの言葉を言われるかもしれないけど、普通に受け答えすれば問題ないわ」
「「「「はい」」」」
この辺りは問題ないだろう。
流石にルカちゃんとエドちゃんは赤ちゃんなので誕生日パーティーに参加する事はないし、有難うと返事すればいいだけだ。
スケジュール確認と言っても他に確認する事がないので、これで全て終わりです。
今日は勉強も終わったし、王城での予定は全て終わりました。
と、ここで王妃様とアリア様が、僕の屋敷に行きたいと言ってきた。
「あの二人の育児教育の進捗状況が心配なのよね」
「宰相と商務卿が、溜息をつきながら愚痴をこぼしていたのよ」
おお、レイナさんとカミラさんは一国の王妃様から育児を心配されるレベルですか。
僕も侍従のお姉さんから育児方法を習っているレイナさんとカミラさんに、かなり不安を感じたんだよね。
ティナおばあさまも加わって、僕の屋敷に向かいます。
「あ、にーに!」
「ただいま、ミカエル。皆は?」
「あかちゃのとこ!」
屋敷に着くとミカエルが出迎えてくれたので、皆で育児部屋に向かった。
そこには、衝撃の光景が広がっていた。
「お、お姉さん、これは一体何をしているのですか?」
「二人ともオムツの交換に手間取っていてね。見かねたスラちゃんが、二人にオムツの交換の仕方を教えているのよ」
そう、今日はレイナさんとカミラさんの育児勉強に不安を覚えたのか、スラちゃんがこっちに残っていたのだ。
そして、スラちゃんがリラちゃんのオムツを交換しながら、二人にオムツの交換方法を教えていた。
「スライムにオムツの交換を教えてもらうなんて」
「これは想像以上にヤバいわね……」
王妃様とアリア様は、思わず顔がひきつっていた。
そりゃ、二人の育児勉強の進捗がスラちゃん以下だと分かったのだから。
そして、ティナおばあさまが決断を下します。
「二人とも、研究所の仕事はお休みしなさい。育児の勉強に専念する事」
「「はい……」」
流石にこれではまずいと思ったのか、レイナさんとカミラさんもティナおばあさまの言葉に素直に従っていた。
そして、商務卿の所で働いているジンさんの妹のリリーさんを呼び寄せるのが早まる事も決定したのだった。
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