二百七十六話 サーゲロイド辺境伯領に到着
僕達が教皇国に接している辺境伯領に向かう事が決まって一週間。
予定通りに魔導船に乗って辺境伯領に向かいます。
今回向かう辺境伯領はサーゲロイド辺境伯領で、領内に鉱山や宝石が取れる所を保有しています。
「お兄ちゃん、リズは鉱物採取がしたいです!」
「ダメダメ。冒険者活動ではなく、ちゃんとしたお仕事で辺境伯領に行くんだからね」
「えー」
この間勉強の時に習った事をリズに教えると、冒険者ランクを上げたい為に冒険者活動をしたいと言ってきた。
Dランクになる為には、とある鉱物や宝石もランクアップする為の対象になっているからなあ。
「軍務卿、外務卿。サーゲロイド辺境伯ってどんな人ですか?」
「教皇国に接しているだけあって信仰深い人だけど、悪い人ではないぞ」
「現当主は少し年配だけど、闊達な人だ。息子夫婦が王都にいる事が多いな」
うーん、信仰深い優しいお爺ちゃんってイメージなのかな?
因みに今回の辺境伯領への同行者は、僕とリズとサンディに軍務卿と外務卿。
それに近衛騎士が何人か護衛についています。
二泊三日の予定で、領都と国境の街を視察する予定です。
「あっ、街が見えてきたよ!」
「大きい街だね」
リズとサンディは、魔導船の窓から見える景色に釘付けだ。
鉱山と宝石が取れる場所があるだけに少し山がちな地形だけど、都市は平地に築かれていた。
さて、もう少ししたら駐屯地に到着です。
ガラガラ。
僕達は駐屯地に無事に着陸した魔導船から降りていって、軍務卿が色々と指示を出した後に直ぐに領都に向かいます。
サーゲロイド辺境伯領も沢山の人が行き交っていて、とっても活気がありそうだ。
市場では珍しい産物も売られていて、時間があったら市場をまわってみたいなあ。
「宝石商も沢山ありますね」
「ここは宝石産出の一大拠点だからなあ。妻に何か買ってきてと言われているのだよ」
「私も同じですよ。公務だというのに、話を聞かないのですよ」
軍務卿と外務卿が苦笑しているけど、奥さんがいるから常にご機嫌を取らないといけないらしい。
「お兄ちゃん、マウンテンバッファローのお肉が売られているよ!」
「とっても美味しいって噂ですね」
リズとサンディは子どもなだけに、宝石を買う物欲よりも食欲の方が上回っている。
お肉屋さんの前で売られていた肉の塊を見て、食べたいとはしゃいでいた。
そうこうしている内に、サーゲロイド辺境伯の屋敷が見えてきた。
街での買い物の前に、きちんとお仕事をやりましょう。
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