二百七十四話 二人の王子の誕生

 一月も後半になったある日の朝、王城から辺境伯様の元へある連絡が入った。

 連絡を受けた辺境伯様は、僕達に連絡内容を教えてくれた。


「王妃様とアリア様にお子様がお生まれになったという連絡があったぞ」

「「「本当?」」」


 王妃様とアリア様共に臨月に入っていたから出産間近だったのは分かっていたけど、赤ちゃんが生まれたんだ。

 僕達は早速着替えて、辺境伯様と共に王城にゲートを繋いだ。


「リズちゃん、アレクお兄ちゃん、サンディちゃん。エレノアもお姉ちゃんになったよ!」

「「良かったね!」」


 王城に着くと、直ぐにニコニコ顔のエレノアが出迎えてくれた。

 余程お姉ちゃんになったのが嬉しいのだろう。

 リズとサンディと抱きついてはしゃいでいるぞ。

 ティナおばあさまも僕達の所に来てくれた。


「辺境伯、アレク君。来てくれて有難うね。元気な男の子が二人も生まれたわ」

「おお、王子様ですか。この国にとってもとても良い事ですね」

「王位後継者が増えて、王族としても一安心ですね」


 王国はやむを得ない時を除いて、基本男子が家を継承する。

 ルーカスお兄様とルーシーお姉様にエレノアがいるとはいえ、男子が増えるのはとても良い事だ。

 王妃様とアリア様と赤ちゃんは出産と育児をする為の部屋にいるという事なので、皆で向かう事に。


「「赤ちゃん可愛い!」」


 部屋に入って直ぐに、リズとサンディはベビーベッドですやすやと寝ている赤ちゃんの側に寄っていった。

 うーん、偶然なのか王家の血なのか少し色合いが違うけど見事に生まれた赤ちゃんの毛の色は金髪だ。


「陛下、王妃様、アリア様。ご出産誠におめでとうございます」

「おお、辺境伯にアレクか。わざわざすまんなあ」

「元気な赤ちゃんが生まれて良かったですね」

「ええ、とっても元気で乳も沢山飲んでくれていますわ」

「ほぼ時間差なしで生まれたので、まるで双子の兄弟みたいですわね」


 無事に出産が終わり、もうニコニコ顔が止まらない陛下と王妃様とアリア様の姿があった。

 王家にとっても六年ぶりの王子誕生で、喜びもひとしおです。


「お名前は決まったのですか?」

「王妃が産んだ男児はルカリオで、アリアが産んだエドガーだ」

「ルカちゃんとエドちゃんだ!」


 リズは早速愛称で赤ちゃんを呼んでいる。

 しかし、王妃様の子どもはルで始まってアリア様の子どもはエで始まるのか。

 もはや名づけの法則だね。

 ルカちゃんがプラチナブロンドに近い金髪で、エドちゃんが茶色気味の金髪なので見分けがつくのだが顔は本当にそっくりだなあ。

 

「ぽっぺがぷにぷにだよ」

「本当に小さいね」

「手も小さいよ」


 リズとエレノアとサンディは、スラちゃんとプリンと共に赤ちゃんのもぞもぞと動くように釘付けだ。

 そんな五歳児達を、ルーカスお兄様とアイビー様とルーシーお姉様がほほえましく後ろから見ていた。


「エレノアが産まれた時も、僕達はこうやって見ていたのかな?」

「わたくしも、メアリが産まれた時は同じ様に釘付けでしたわ」

「でも、本当に赤ちゃんは可愛いね」


 最近は自分よりも年が下の子どもに接する機会が多いので、僕も赤ちゃんに接する機会が増えた。

 でも誰の赤ちゃんでもとっても可愛いよね。


「「ふえええ」」

「あ、二人同時に泣いちゃったよ」


 と、ここで同時に赤ちゃんが泣いてしまって、エレノアは少し戸惑ってしまった。

 しかし、赤ちゃんの直ぐ側にはスラちゃんがいるのだ。


「スラちゃんがね、赤ちゃんがお腹すいたって言っているって」

「本当にスラちゃんは賢いわね」

「丁度お乳を上げるタイミングでもありますね」


 という事なので、王妃様とアリア様は早速赤ちゃんにお乳をあげる事に。

 とはいえ授乳姿なので、お手伝いの侍従を残して僕達は部屋の外に出る事にした。


「いいタイミングなので、我々もこれで帰ります」

「王子誕生の知らせは改めて全貴族と全国民に知らせる事にしよう」


 赤ちゃんが疲れちゃうといけないので、僕達はこれで帰る事に。

 しかし王子が二人も誕生となると、国としても慶事だもんね。

 勿論、貴族も国民にも王子の誕生は祝福と共に受け入れられるのだった。

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