二百六十六話 復興対策会議

 アホラ子爵達が謁見の間から連行された後、会議室に集まって今後の事について話し合う事に。


「そういえば、代理を務めているフィルはどうした?」

「疲労から熱を出してしまった様です。リズが治療していますが、今日はこのまま休んだ方が良いかと」

「そうか、そこまで無理をさせてしまったのか。その一端には余も絡んでいるな」


 僕の報告内容に、陛下はため息をついていた。

 もっと早くアホラ子爵の処分を行っていれば、ナシュア子爵での大災害はおこらなかったと思っているのだろう。

 でも過去はどうしようもないと気持ちを切り替える事に。


「食べ物は運べばどうにかなるが、住む所は直ぐにはできない。周辺の領地から大工をかき集めて、手分けして作業するしかないな」

「では、木材の調達に入りましょう。幸いにしてナシュア子爵領には、良質な木材があります」

「魔法兵も動員して、伐採後の木材を建材に使える様に乾燥させる様にしよう」

「テント暮らしも大変だから、アレク君が作った仮住宅にしましょう。土魔法なので、直ぐに破壊する事も可能です」


 主に住宅関連の事で話し合いが持たれた。

 特にテント村の解消は急がないとな。

 そこは僕が頑張らないと。


「断絶となった三領地への代官の配置も必要だ。税制も改善しないとならないな」

「幸いにして街は落ち着いております。しかし、仕事に困っている人もいるでしょう」

「復興を手伝って貰おう。勿論、賃金は規定のものを払うとしよう」


 これで会議は終わりなのだが、ここで何故かプリンが触手を上げた。

 そして、目の前に置かれていたお菓子を消したり出したりしている。

 これは、もしかして……


「プリン、アイテムボックスを使える様になったの?」


 僕の問いかけにプリンは元気よく触手を振っていた。


「ティナおばあさま、どうも今日の戦闘でプリンがパワーアップして、空間魔法が使える様になった様です」

「あら、そうなの。それじゃあ、木材の搬出をお願いしようかしら?」


 ティナおばあさまもびっくりのプリンの進化だった。

 とはいえ、とっても助かるのでプリンにも頑張って貰おう。


 閣僚はこのまま対策会議を続けると言うので、ティナおばあさまとルーカスお兄様とロロノア男爵を連れて再びナシュア子爵領へ。

 官僚と兵の責任者にもさっきの話を伝え、直ぐに支援案の策定にあたっている。

 炊き出しも順調なので屋敷の中に入ると、ようやく屋敷の中の清掃に取りかかれたのかだいぶ綺麗になっている。

 でもまだ一階で寝るのは大変なので、皆二階で就寝するという。

 そして、僕達はフィル様が寝ている部屋に向かう。

 部屋ではロロノア男爵夫人と娘のサラさんが、ベッドで寝ているフィル様の様子を見ていた。

 そして治療にあたっていたリズとサンディが、座っていたイスから降りてこちらにやってきた。


「お兄ちゃん、治療はバッチリだよ!」

「でも、今日は安静が必要です」

「そっか、有難うね」

「「えへへ」」


 頑張った二人に、ご褒美に頭をなでなでしてあげた。

 あと、今日の夜はどうしようかな?


「ロロノア男爵は、この後どうしますか?」

「私と妻は一度屋敷に戻りたいと思います。支援物資について、検討しようかと思います」

「サラはここに残ると言っております」

「では、ルーカスお兄様とティナおばあさまを王城に送っていく際に、一緒に送ります」

「ありがとうございます、アレク殿下」


 ロロノア男爵の所はこれで大丈夫。

 すると、ティナおばあさまが僕に話をしてきた。


「ルーカスとアイビーは王城に戻りなさい。しかし、それだと責任者が誰もいなくなるから私が残ります。済まないけど、アレク君達も残ってもらっていいかしら?」

「はい、分かりました」


 僕達は冒険者セットを持っているからいつでも泊まれる事ができるし、野宿でも全く問題ない。

 という事で、ティナおばあさまの方針に従い、今日はこの屋敷に泊まる事になった。

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