二百五十話 闇ギルドの新たな動き
ミカエルをベッドに寝かせた所で、ムノー子爵関係の会議のために王城に向かう事に。
メンバーは僕とティナおばあさまとジンさんとレイナさんとカミラさんという、現場にいた王族や貴族や貴族子女。
更にルーカスお兄様とアイビー様も会議に参加する事になった。
スラちゃんはミカエルの側にいるそうなので、プリンが僕と共に来ています。
アマリリスはアイビー様と共にこちらに一緒にきます。
ルーカスお兄様も貴族が起こした惨事だから、話だけでも聞いておかないといけないよね。
という事で、冒険者のお姉さん達と近衛騎士に後は任せて、王城にゲートを繋ぎます。
王城につくと、直ぐに陛下と宰相と軍務卿が待っている大きな会議室に通された。
「正直なところ、たまたまだというのもあったが叔母上達がいてくれて良かった」
「その感じだと、色々分かった様ね」
冒頭、陛下がティナおばあさまに話をしているけど、やはりムノー子爵はとんでもない事をやらかしていたんだな。
軍務卿の報告で、何をやらかしたか直ぐに分かった。
「押収された薬は麻薬の一種だった。王都では最近様々な取り締まりを強化していたから、取り締まりの網をくぐり抜ける為に数カ所の観光地で観光を隠れ蓑にして麻薬の授受をしていた様だ」
「あ、もしかして魔物化する前のムノー子爵の言動がおかしいのは、もしかして薬の影響だったのかも」
「そういう事だ。ムノー子爵と息子の体内から麻薬の成分が出てきた」
だから宿の従業員にも見つからない様に薬を隠していたのか。
麻薬だから、見つかったら大変だよね。
「麻薬は闇ギルドから流れてきた物だ。どうも奴らは資金を得るための方法を変えてきた様だな」
「昔は闇ギルドも直接的な犯罪が多かったが、ここ最近はアレクに防がれているのもあるのだろう」
「経済犯も増えるかもしれん。商務卿にも調査の指示を出したわい」
確かに共和国での大規模な戦闘以来、闇ギルドとしては大人しかったけどやり方を変えてきたのか。
資金を得るために、様々な犯罪に手を付ける可能性はありそうだ。
「恐らく、背後にピエロとドクターの存在があるのは間違いないわね。あの二人は自分達の手を汚さずに末端の人物を通じて何かをやらせるわ」
「余もその可能性は高いと思う。勿論武力攻撃も警戒しないとならないが、今後は市中への監視も強めないとならないな」
薬が絡んでいるとなると、確かにピエロとドクターの存在はあるだろうな。
現にムノー子爵は魔獣化の薬を持っていた訳だし。
「薬物が取引されていた観光地は、生き残っていたムノー子爵の息子の嫁が幾つか知っていた。嫁としては、まさかこんな事になるとは思っても見なかった様だな。素直に話しているぞ」
「疑惑がある宿に宿泊した貴族の屋敷を捜索しているが、全て王都に在住している貴族主義の連中だ。中には薬の仲買人みたいな事をして、財を成している馬鹿もいたな」
「もう、お金を稼ぐ為に違法な事でも平気で手を出しますね」
「特に薬物絡みは国の根幹を揺るがすからな。内務卿を中心として、早速違法薬物に関する罰則の強化に乗り出した」
うーん、闇ギルドが資金源を得る為にやり方を変えたってのもありそうだけど、闇ギルド内でも何かが起きているのかも知れないな。
王国内は、いつでもどんな事にも対応出来る様に準備をするだけだ。
「しかし、魔獣化か。俺も噂でしか聞いてなかったけど、実際に見るととんでもないものだったな」
「そうね。私達なら何とか対応できるけど、普通の兵や冒険者だと厳しいわね」
「しかも、悪意を持って普通の人に投与される危険性もあるわね。中々に難しいわね」
ジンさん達の意見に、レイナさんとカミラさんも頷いていた。
無差別テロの可能性もあるし、それでいて闇ギルドは直接手を汚さないから、闇ギルドに取っては都合が良いだろうな。
「うーん、闇ギルドが何を考えているか分からないですね」
「そうですわね。一体何を目的にしているのでしょうか?」
ルーカスお兄様とアイビー様の意見に、僕も賛成だ。
特にピエロとドクターが姿を現してからは、闇ギルドのやりたい事が分からないなあ。
そんな事を話していたら、良くない報告がもたらされた。
たまたまムノー子爵の屋敷の捜索に参加していた農務卿から、陛下の端末に通信が入ったのだ。
「お、農務卿から急ぎの連絡だな。何? ムノー子爵の次男が魔獣化の薬を飲んで、屋敷の中で大暴れしているらしいぞ!」
「「「え!」」」
ムノー子爵家での新たな騒動が発覚した瞬間だった。
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