二百四十九話 皆でお買い物

 捜索としては午前中で終わりそうなので、午後からは観光をメインに動く事に。

 折角なので、昼食も温泉街の食堂で食べる事になった。

 と、ここでリズがティナおばあさまにとある提案をしてきた。

 

「おばあちゃん、ミカちゃんも連れて来ていい?」

「そうね、せっかくだから連れて来ましょうか」

「うん!」


 僕の屋敷でお留守番をしているミカエルも一緒にという事なので、ゲートを繋いでミカエルを呼んできた。

 因みに、特製のベビーカーも持ってきています。


「ミカちゃん!」

「ねーね!」


 一日ぶりの再会に、リズもミカエルも大喜びです。

 リズはミカエルをぎゅっと抱っこしてニコニコしています。

 そして、皆がミカエルを順番に抱っこしていきます。

 

「さあさあ、先ずはお食事にしましょう。お勧めの食堂があるのよ」

「「「はーい」」」


 ティナおばあさまが皆に声をかけて、お勧めの食堂に案内していく。

 因みにミカエルはジンさんが抱っこしている。

 何故だか分からないけど、ジンさんはミカエルに懐かれているんだよな。

 そしてジンさんは、ミカエルの事を抱っこしたい大人の女性陣からの嫉妬の視線を浴びています。

 そんな中、とある食堂に入って行きます。


「いらっしゃい。あら、ティナ様お久しぶりですね。さっき外にいるのはお見かけしましたわ」

「いえいえ、お久しぶりですわ」

「まあ、噂のお孫様も居ますね。では、席にご案内いたしますわ」


 お店に入ると、愛想の良いおばちゃんが応対してきた。

 午前中僕達が色々と捜索しているのを見ていたらしく、説明なしで僕達の事も知っていた。

 とってもスムーズに席に案内してくれたよ。


「はい、こちらがメニューです。お子様向けの品物もありますよ」

「ありがとうございます」


 メニューは基本的に田舎の料理って感じで、閣僚とかが好きなメニューだな。

 野菜たっぷりのスープに漬物とか、日本料理みたいなラインナップだ。

 僕達はお子様セットで、ミカエルは皆の分を少しずつもらう事になった。

 大人は捜索で疲れたのか、ガッツリとお肉メニューを頼んでいた。


「美味しいね。野菜たっぷりスープが美味しいよ」

「お肉も美味しいね」


 ティナおばあさまお勧めだけあって、皆料理に大満足。

 ミカエルも美味しい料理にとってもご満悦です。

 因みにミカエルはジンさんの所にいるので、レイナさんとカミラさんがミカエルにご飯を食べさせています。


「ほら、ジンもミカエルちゃんにご飯を食べさせないと。将来に向けての訓練よ」

「分かったよ。おら、あーん」

「ぷい」

「何でだ!」

「あはは!」

「こりゃ、ミカちゃんにとってジンは同類だと思われているんだな」


 赤ちゃんであるミカエルに翻弄されるジンさん。

 レイナさんとカミラさんは、間違いなくミカエルにとってジンさんは遊び相手だけなのだと確信したのだった。


 その後はお店で買い物をします。

 物産展の様に、大きな店舗に各お店の一押しの物がずらっと並んでいます。

 この世界では珍しい、中々面白い施設だなあ。

 竹細工の民芸品からバッグまで珍しい物も置いてありました。


「お兄ちゃん、これ買っても良い?」

「待って、何処に置くつもりだ?」

「玄関!」

「却下だ却下。屋敷に来た人が驚いちゃうよ」

「えー!」


 リズとスラちゃんが買おうとしたのは、かなり大きな木彫りのクマだった。

 これがデフォルメされたクマだったら許可したけど、かなり精巧なクマだったから流石に却下した。

 諦めて、サイズの小さい木彫りのクマを買っていた。

 子ども向けのおもちゃも売っていたから、ミカエル用に買っていこう。

 香辛料とか味噌っぽいのもあるから、幾つか買って屋敷の料理人に渡しておこう。


「アレク君、お土産買えた?」

「はい、屋敷の人の分も買えました」

「そう、それは良かったわ」


 屋敷の人の分も買い終わった所で、ティナおばあさまから声をかけられた。

 他の人も、思い思いにお土産を買っていた。

 リズは何を買ったのかな。

 うん、あえて聞かない様にしておこう。

 とんでもない量の品物をマジックバックに詰め込んでいるな。

 スラちゃんも沢山の品物をアイテムボックスに入れている。

 まあ、自分のお金で買っているから何も言わないでおこう。

 

「ふわぁ」

「あら、ミカエルはおねむかな?」

「うん。ばーば、ミカおねむ……」


 ベビーカーに乗っていたミカエルが眠くなってしまった様だ。

 ベビーカーを押していたティナおばあさまがミカエルに話しかけるが、既にミカエルの意識は大半が夢の中だ。

 全員買い物も終わった様なので、木こりの宿に戻る事にした。


「あら。ティナ様、そちらのお子様は?」

「孫の従兄弟なんですよ」

「まあまあ、それはそれは可愛らしいですわね」


 宿のおかみさんがカウンターにいて、ベビーカーの中でスヤスヤと寝ているミカエルの可愛らしさに目を奪われていた。

 ミカエルの頭を撫で撫でして、ほっぺたをぷにぷにしていた。

 と、ここでティナおばあさまの魔導具に通信があった。

 

「アレク君、ムノー子爵の件で進展があったそうよ。王城に来てくれって」

「何が出てくるか楽しみですね」


 謎の薬の件も気になるし、一体何がもたらされるのか。


「スー、スー」


 とりあえず、ミカエルを部屋のベッドで寝かせてこよう。

 それから王城に向かわないと。

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