二百四十七話 ちょっとねむねむなお兄ちゃん

 ペシペシ、ペシペシ。

 ペシペシ、ペシペシ。


「お兄ちゃん、起きて起きて」

「アレク様、起きてよ」


 ペシペシ、ペシペシ。

 ペシペシ、ペシペシ。


 うーん、眠いよー。

 誰かが僕のほっぺをペチペチ叩いているよ。

 結局いつの間にか寝ちゃったけど、睡眠不足で眠いよー。

 という事で、おやすみなさい。


 ペシペシ、ペシペシ。

 ペシペシ、ペシペシ。


「お兄ちゃん、起きてよー」

「アレク様、朝だよー!」

「うーん、眠いよ……」


 僕の上にリズとサンディが乗っかって僕のほっぺをずっとペチペチ叩いている。

 そっか、二人は夜中の騒ぎでもずっと寝ていたから元気なんだ。

 

「お兄ちゃん、何でそんなに眠そうなの?」

「昨夜、大事件があったんだよ……」

「え? そうなんですか?」

「そうなんだよ。二人は熟睡していたけどね」


 目をしばしばしながら二人に答えるけど、まだ頭がまわらないよ。

 えっと、ティナおばあさまとジェリルさんとランカーさんは、まだ寝ているな。

 僕も眠いけど、どっちにしろ王城にルーカスお兄様とかを迎えに行かないといけないんだよね。

 とりあえず着替えて、王城に向かわないと。

 

「アレク、流石に眠そうだな……」

「はい、もう眠くて眠くて。ティナおばあさまは、まだ宿で寝ています」


 王城に着くと、ルーカスお兄様達に加えて陛下も出迎えてくれた。

 昨晩のムノー子爵の話は既に聞いている様なので、僕が眠い理由も分かってくれている。

 

「生き残っている息子の嫁と家臣から聴取を行う。既に屋敷へは捜索させている。確か次男が屋敷にいるらしいが、爵位継承は一旦中止だな」

「男爵領での騒動や、あの魔物化の薬もありますよね。こればかりはどうしようもないですね」

「王族や貴族への殺人未遂もあるからな。いずれにせよ、捜索を行ってから判断になるだろう」


 この辺りは軍の捜索待ちだ。

 屋敷を捜索して何が出てくるか、最低でも爵位の降格は固いだろうけど最悪お家取り潰しもあり得るだろうな。

 この辺りの情報を持って、ルーカスお兄様達と共に宿に戻った。


「という事です、ティナおばあさま」

「分かったわ。それだけ情報が手に入れば大丈夫よ。朝食を食べたら、少し寝ていなさいね」

「はい。流石に限界です……」


 宿に戻るとティナおばあさまが起きていたので、先程の陛下からの情報を伝えておいた。

 それよりも眠気の方が辛いので、朝食を食べたら少し寝る事にした。

 因みに今日は元々依頼を受けていた獣を間引く為の狩りをする予定だったのだが、昨夜のムノー子爵の魔物化の捜索が優先となったので明日に延期となった。

 なので、ルーカスお兄様達も今日は捜査に協力する事になった。

 なったのだが、今の僕は睡魔との戦いが優先です。


「お兄ちゃん、何だか赤ちゃんみたいだよ」

「アレク様、とっても可愛いです」

「こんなアレクお兄ちゃんは珍しいよね」


 朝食中リズ達が何か言っているのだが、今の僕にはよく聞こえません。

 もうね眠くて眠くて食べながらフラフラとしていて、ポロポロとパンとかも溢してしまっています。

 そして、チャンスとばかりにジェリルさんとランカーさんが嬉々として僕のお世話をしてくれます。

 僕の口を拭いてきたり、食べさせたりしてきます。

 正直なところ、今の僕はポンコツなのでお世話をしてくれるのはとてもありがたい。

 ありがたいのだが、もう眠気が限界です。


 ぽす。


 ある程度ご飯を食べた所で、僕は睡魔に負けてしまった様です。

 隣にいるジェリルさんの胸元に倒れかかってしまったのです。


「ジェリルさん、すみません、もう眠くて限界です……」

「アレク殿下、お気になさらずにこのままお眠り下さい」


 何だか超ニコニコのジェリルさんに抱きしめられて、ついでと言わんばかりに僕の頭を猛烈に撫で撫でしている様だ。

 側でランカーさんがずるいと言っている様ですが、すみません限界です。

 という事で、温もりに包まれながら、皆さんおやすみなさい。

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