二百二十六話 いよいよ五歳の祝いの開始
そして辺境伯領での五歳の祝いの日がやってきた。
リズとサンディは着替えがあると言うので、僕は先ず王城に向かってティナおばあさまを迎えに行く事にした。
「エレノアも五歳だから、一緒に行きたい!」
「エレノアが行くなら、ルーシーも行くよ」
「こうなると、保護者も必要ですわね」
「「……」」
王城に着くなり、当たり前の様に僕達に着いてくる発言をしてきた御三方。
こうなるかと僕もルーカスお兄様も予想はしていたけど、既に着替えも済んでいて行く気満々だったのにはちょっと呆れてしまった。
とはいえ、ここで無下に断る事はできないので、護衛の近衛騎士と一緒に僕の屋敷へゲートを繋いだ。
「にーに、ねーね!」
「ミカちゃんは今日も可愛いわね」
「あー、ルーシーがミカちゃんを抱っこしたかったのに」
「エレノアだって、抱っこしたかったの」
屋敷に着くと、早速ミカエルが皆をお出迎え。
一緒に遊んでくれるお兄さんとお姉さんなので、ニコニコしながらとてとてとこちらにやってきた。
アイビー様にもミカエルの事はお気に入りで、ミカエルも直ぐにアイビー様に懐いている。
しかし、残念ながらミカエルの体は一つしかない。
皆で抱っこをする訳にはいかないので、順番に抱っこしていく。
すると、ドレスに着替えてきたリズとサンディもこちらにやってきた。
二人とも動きやすいショート丈のドレスを着ていて、二人のドレス姿を見たティナおばあさまがうんうんと頷いていた。
「良いわね、活動的なリズちゃんにピッタリね。サンディもよく似合っているわ」
「有難う、おばあちゃん!」
「ティナ様、有難う御座います」
因みに五歳の祝いの時は、街の子もおしゃれをして教会に集まってくる。
子どもの生存率が高い訳ではないので、やはり五歳になる事は親にとって特別な事らしい。
「じゃあ、僕は辺境伯様の所に行ってくるよ」
「お兄ちゃん、いってらっしゃい!」
僕はミカエルと遊んでいる皆を残して、お隣の辺境伯様の屋敷に移動する。
通りがけに辺境伯様の屋敷の庭を見ると、既に僕の屋敷との境の柵が外されていて、テーブルやイスを沢山の人が並べていた。
警備も増強されているが、物々しい雰囲気ではない。
やはり今回の対象者が、子どもっていうのもあるだろう。
その様子を眺めながら、僕は辺境伯様の屋敷に入っていった。
「やあ、アレク君。わざわざきて貰って悪いね」
「いえ、僕にも関係がありますから」
「アレク君は主賓の一人なのに、今日は色々とお願いしちゃって悪いね」
辺境伯様の屋敷に着くと、着替えも済ませた辺境伯様の姿があった。
今回は結婚式の時の様に辺境伯様の衣装が入らないという事態は避けられたようで、僕としても一安心だ。
「この後少ししたら、皆で教会に移動します。教会での行事が終わったら、庭にゲートを繋いで纏めて移動します」
「既に結婚式の時にうちの庭にゲートを繋いだ実績はあるしな。安全の為にもその方が良いだろう。司祭様とシスターも一緒にこちらに来るそうだから、一緒にお連れしてきてくれ」
「畏まりました」
という事で、辺境伯様も準備があって忙しいので簡単に僕のやることを確認した。
司祭様とシスターも五歳の祝いを楽しみにしているので、子ども達と一緒に食事をするという。
さて、僕達もそろそろ教会にいかないといけないので、屋敷に戻って皆と一緒に行かないと。
「僕達もそろそろ行くよ」
「「「はーい」」」
屋敷に戻ってミカエルと遊んでいる皆に声をかけたのだが、リズとサンディだけでなく何故かエレノアまで手を上げている。
勿論、スラちゃんとプリンも触手を元気よく上げていた。
「折角だし、エレノアも連れて行きましょう。街の人もエレノアの事を知っているからね」
「はい……」
ティナおばあさまからもエレノアを参加させても問題ないと言ってきた。
確かにエレノアは辺境伯様の街で買い物したり冒険者と一緒に薬草を採ったりしているので、最近うちに来たサンディよりも街の人に顔が知られている。
という事で、僕とリズとエレノアにサンディ、そしてティナおばあさまと共に教会にゲートを繋いで向かう事になった。
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