二百五話 大きな事件に発展
港湾都市ポートコールへ査察団が向かって一週間。
どうも調査団から更に人員増加の依頼が来たようだ。
「思ったよりも不正が大規模で、更には査察妨害も受けているそうだ」
「となると、軍が制圧した上での査察になりますね」
「全くだ。またもやイベント前にこんな事が発覚するとは」
お昼過ぎにたまたま皆で内務卿の執務室を見学していたら、陛下と宰相と軍務卿も執務室に入ってきた。
話を聞いた僕とルーカスお兄様は、またかとげんなりしていた。
「現地には軍の駐屯地もあるから、こちらも魔導船を使う。悪いがアレクもついて行ってくれ」
「分かりました」
「リズもついていく!」
という事で、急遽僕と軍務卿と内務卿がポートコールに向かうことに。
何故かリズとスラちゃんとプリンもついていく事になった。
今から魔導船を使えば夕方前にはポートコールにつくというので、僕達は急いで王都の駐屯地に向かい、魔導船に乗り込んだ。
「あ、海が見えてきた!」
「本当だね。船も沢山見えているね」
流石は最新の魔導船だ。
王都を出て、あっという間にポートコールの周辺についた。
まだ夕方前だから、軍が行動する時間もある。
いよいよ目的地に着陸と思って下をみたら、駐屯地の入口付近で何やら小競り合いが起きている。
「ちっ、恐らくアイツらは代官の私兵だな」
「何故、軍に戦闘を仕掛けているのでしょうか?」
「それは奴らを捕まえて吐かせる」
「よーし、リズも悪い人を倒すよ!」
「リズとスラちゃんは、怪我した人の治療の用意をしてね。僕とプリンのショートスタンの方が効果的だから」
「えー」
どう見ても怪我人が多数発生しているし、リズとスラちゃんには悪いけど治療に専念してもらおう。
そんな事を思いつつ、魔導船は何とか着陸した。
僕達は直ぐに船から降りた。
すると、現地の責任者っぽい人が駆けつけてきた。
「報告致します。代官がならずものを雇い、魔導船の着陸を阻止しようと襲撃してきました」
「証拠隠滅を謀らんと暴走したのか。許せん」
「たっぷりとお仕置きをしてあげないといけませんね」
報告内容に、軍務卿と内務卿は怒りを隠さないでいる。
僕も勿論許せない気持ちで一杯だ。
だけど、そんな皆の気持ちが吹っ飛ぶ事態が起きた。
「えーい!」
「おい、子どもとスライムが突っ込んできたぞ」
「なんだなんだ?」
「ああ、人の話を聞かないで」
魔導船の中でリズとスラちゃんは後方支援だと言ったのに、僕達が報告を聞いている間にリズとスラちゃんとプリンがもみ合いになっている現場に突撃していった。
突然の子どもとスライムの乱入によりもみ合いの現場は一瞬フリーズし、その瞬間を逃さずならずものにリズとスラちゃんとプリンが襲いかかった。
リズとスラちゃんは極限まで身体強化を行って、ならずものを殴り倒している。
プリンはショートスタンを乱舞し、こちらもならずものを行動不能にしていく。
ならずものはなすすべなく倒されていき、兵も突然の出来事にポカーンとしていた。
「お兄ちゃん、終わったよ!」
「このおバカ。魔導船の話を忘れたの?」
「うー、だって危なそうに見えたんだもん……」
「だからといって、勝手に走っていかないの。僕が王都から兵を呼ぶ間に、怪我した兵を治療してね」
「はーい……」
僅か数分でならずものはリズ達によって撃退されたけど、しっかりと注意する事は忘れない。
プリンはともかくとして、リズとスラちゃんの猪突猛進な性格はどうにかして欲しいな。
軍務卿と内務卿が、僕が戻ってきたリズとスラちゃんの事をしかっているのを苦笑して見つめていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます