二百四話 不正の発覚
ジンさんの結婚式が終わったけど、今年はまだまだイベントが盛り沢山。
エレノアとリズの誕生パーティと、辺境伯領と王都での五歳の祝いのイベントだ。
とはいえ、こちらは僕達が何かを用意する事はなくただ単に参加するだけで良い。
服も既に決まっているので、焦ることもない。
「疲れたよ……」
「勉強難しいよ……」
なので、勉強と時々冒険者をする日々を送っていた。
今日は王城での勉強で、相変わらずの難しい問題にエレノアとリズがダウンしていた。
「終わったよ!」
「あら、ルーシーも良く出来るようになったわね」
「ルーシー、凄いね」
「えへへ」
「「ぐぬぬ……」」
因みに、ルーシーお姉様は何かコツを掴んだのかスラスラと問題を解ける様になっていた。
今日の監督役であるティナおばあさまと先に課題を終わらせたルーカスお兄様に褒められて、ルーシーお姉様はとってもご満悦だ。
そしてエレノアにリズよ、悔しがる前に手を動かしなさい。
「ほら、頑張って終わらせないと。午後は宰相の執務室を見学するのでしょう?」
「「そうだった!」」
ティナおばあさまに言われて、エレノアとリズはガバッと起きてきた。
今も現場見学を続けていて、今日は宰相の執務室を見学する事になっている。
それを思い出した二人は、急いで問題を解いていった。
「「「「「こんにちは!」」」」」
「おお、ようこそ来てくれた」
午後になり、皆で宰相の執務室に向かう。
ティナおばあさまは来客の応対があるので同行していない。
王妃様とアリア様が安定期に入るまでは、一部の公務を肩代わりするという。
代わりにジェリルさんとランカーさんをはじめとする近衛騎士がついてきている。
「そうだ、ルーカス王子とアレクはこっちにきてくれ。その他の者は、係の者が案内させよう」
「「「はーい」」」
おや?
僕とルーカスお兄様だけ、宰相のすぐ側に呼ばれていった。
ルーシーお姉様達は、職員の人から説明を受け始めている。
「二人とも、この書類を」
「おや? 数字がおかしいような。後から色々と付け足した様に見えますね」
「計算も合わないので、何が正しいのか分かりませんね」
宰相が見せてくれたのはとある所の税の申告書なのだが、数字がデタラメで僕とルーカスお兄様も困惑してしまった。
「子どもがひと目で見て分かるほどの書類を送ってくるとはな。これは王都直轄の港湾都市ポートコールの代官から送られてきた物だ」
「え、本物ですよね?」
「という事は、不正ですか?」
「残念ながらその可能性がある」
港湾都市ポートコール。
ちょうど今日の勉強で習った所だ。
天然の良港で漁業が盛ん。
国内の各都市とも交易が盛んな所だったはず。
辺境伯領から馬車で四日位の所にあり、王都よりも辺境伯領の方が近い。
王国直轄地なので、王国から派遣された代官が統治する。
「先ずは査察官を辺境伯領経由で派遣させる。強制査察だな」
「直ぐに不正を認めてくれればいいのですが」
「それは無理だろうな。なにせあの侯爵一派の人間なのだから」
「うわあ、よりによってですか……」
いきなり現地に乗り込んで強制査察になるのも異例なのだが、相手はあの侯爵一派だ。
絶対に不正蓄財していそうだぞ。
このあと警護付きの調査団を編成して、現地に送るそうだ。
できれば穏便に済ませてもらいたいなあ。
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