二百二話 披露宴という名のお祭り騒ぎ

「それでは、これからジンさん達の披露宴を開始します」

「「「イェーイ!」」」


 何故か僕が披露宴の司会をする事になってしまい、何となくで始まっている。

 というか、既に皆さんお酒を飲んで出来上がっているし、ここはさっさとメインイベントをやってしまおう。


「それでは早速ですが、ウェディングケーキの入場です」

「「「ウォー!」」」

「ははは、何だかとんでもない人達がケーキを運んできたね」

「ジン、もう諦めなさい。アレク君が司会をしている時点で、もう普通じゃないわ」

「そうそう、ティナ様が喜々として給仕をしているのよ。常識を捨てなさい」


 ウェディングケーキをカートに乗せて運んできたのは、お兄様とお姉様にエレノアとリズ。

 皆、侍従の格好をしていた。

 そして、ティナおばあさまは周りの人にお酒を注いでいる。

 ティナおばあさまにお酒をお酌されている冒険者は、憧れの人にお酒を注いでもらって上機嫌だ。

 その間に、ケーキ入刀の準備をが完了した様だ。


「それでは、ケーキの入刀です。どうぞ」

「「「わー」」」


 皆に拍手を受けながら、ジンさん達がケーキの入刀を行った。

 特に女性陣は笑顔でみんなの方を見ていた。

 あ、またレイナさんの家族が号泣していて、妹さんが呆れてるよ。


「それでは、時間の許す限りお楽しみ下さい」


 無事に主な予定も終わったので、来賓は次々と主賓に向かって行っている。

 主にジンさんを潰すためにお酒をどんどんと注いでいるのだけど……


「うう、レイナ……」

「あんなに小さな可愛らしい子だったのに……」

「うう、うう……」

「ほらほら、折角の娘の門出だ。ダンナも、祝ってやらないと」

「そうだよ! 冒険者さんの言うとおりだよ。私がお嫁に行くときはどうするの!」

「「「うわーん」」」

「「「駄目だこりゃ……」」」


 アルコールも入ったのか、レイナさんの実家である商務卿一家の男性陣はボロボロだ。

 周りの人や妹さんが宥めているけど、全く効果はない。

 うーん、商務卿は明日からキチンと仕事できるのかな……


「飾らない食事は良いなあ」

「流石はこの国の宰相様だ。よく分かっている」

「あのじゃじゃ馬娘の祖父だからな。それに、肩肘張らないのはとても良い」

「そのとーり!」

「「「ガハハ!」」」


 宰相はというと、これまた冒険者と肩を組んで酔っ払っている。

 他の家族も、バクバクと料理を食べている。

 宰相一家は、商務卿の所とは正反対だな。

 

「なんで、私達と一緒に飲まないのかな?」

「私達の何が悪いのかな」

「諦めずにどんどんといくわよ」

「「「おー!」」」

「「「ひいい……」」」


 そして、女性冒険者とギルドの受付のお姉さんとジンさんの同級生で未婚の人は、片っ端から男性に声をかけていた。

 うん、まるで男性を狙うハンターになっているな。

 お陰で、男性陣の方が大人しくなっている。


「こういうのも楽しいね」

「そうだね」

「お手伝い楽しい!」


 そして、未来の国の王様候補はというと、お手伝いが楽しいらしく、来賓の間を忙しそうに動いていた。

 来賓もお兄様やお姉様の事も良く知っているので、ニコニコとしている。


「「「うう……」」」

「「「がはははは!」」」


 一番偉い所を除きますが。

 僕とリズもお手伝いをしつつ、料理も食べている。

 いつものギルドの食堂の料理も美味しいけど、今日の料理も美味しいな。


 まあ、色々とあったけど、概ね和気あいあいとしたアットホームな結婚式だった。


「「「かんぱーい! ガハハ!」」」


 うん、そろそろ宰相の所は静かにしましょうね。

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