百五十六話 進軍、そして突入開始
そして次の日の早朝、準備万端の僕とリズはスラちゃんとプリンと共に辺境伯様の屋敷に向かった。
「おお、アレク君にリズちゃんか。今日はよろしく頼むぞ」
「はい。ジェイド様の護衛としてプリンを託します。小さいけど、雷魔法のショートスタンと魔法障壁は中々のものです」
「有難う、アレク君。プリンの能力は私も知っているから心強いよ」
「アレク君、リズちゃん。ジェイドを宜しくね」
「任せて!」
辺境伯様の屋敷の前には、完全武装したジェイド様を見送るために辺境伯様とイザベラ様とソフィア様がいた。
僕達とあいさつをし、プリンは早速ジェイド様の肩に陣取った。
ジェイド様の護衛で、何人か辺境伯領の兵もつくという。
そこに冒険者のお姉さん達もやってきた。
「すみません、遅くなりました」
「リズ達も、今来たんだよ」
「君達も故郷の事とはいえ、肩に力が入らない様に」
「「「はい」」」
流石は辺境伯様、冒険者のお姉さんが気合い入りすぎているのを直ぐに見抜いた。
これで全員揃ったので、郊外の駐屯地にゲートを繋いだ。
「行ってきまーす!」
「気をつけてね」
辺境伯様の家族に見送られながら、僕達は駐屯地に到着。
軍務卿を始めとした兵も準備万端の様だ。
「丁度時間ピッタリだな。よし、いくぞ」
「はい」
ジェイド様は馬に乗り、僕達は荷を運ぶ馬車に乗り込んだ。
二百人以上いる、結構な部隊だ。
「では出発だ」
軍務卿の合図によって、軍は出発した。
道中は順調に進んでいく。
「お兄ちゃん、天気良いね」
「そうだね。こんな日は、依頼をこなすのが良いよね」
「勉強しないで依頼をやりたいな」
「それはダメ」
「えー」
何だか馬鹿な話をしながら軍勢は進んでいきます。
僕達の会話を聞いている兵も、思わずクスクスと笑っています。
とはいえ問題になっているのは隣の領地。
お昼前にはバザール伯爵領の防壁に到着。
大勢の兵が押し寄せたので、門を通ろうとした一般市民も勿論守備兵もびっくりしている。
そして、軍務卿が馬上から命令書を取り出した。
「軍務卿だ。国からの命令でバザール伯爵の調査にきた。ここを通るぞ」
「は、はいいい」
守備兵は完全に大量の兵の雰囲気に飲まれてしまい、言葉を上手く発せずにいる。
すんなりと防壁を通過し、軍勢は通りを通って屋敷へ向かう。
「何だか街に活気がないね」
「本当だね。市場にも品物が少ないや」
街の人も疲労しているのか、ぼーっと軍勢を見上げていた。
リズとも話をしているが、街全体に活気がなく通りを歩いている人も少ない。
市場に並んでいる品物も少ないし、街が機能していない様だ。
軍務卿もジェイド様も、街の様子にびっくりしている。
それに反して、とっても豪華な屋敷がどーんと目の前に現れた。
軍務卿もジェイド様も僕達は勿論の事、冒険者のお姉さんも兵も唖然としている。
「何でこんな豪華な屋敷があるのだろうか」
「辺境伯様の屋敷より明らかに豪華です」
「どこにそんなお金があるのだろうか」
思わず冒険者のお姉さんが呟いている。
その気持ちはとっても良くわかる。
「よし、屋敷の周りにつく者は定位置に移動せよ」
「「「はっ」」」
五十人程の兵が屋敷を取り囲む様な位置に着いた。
逃げる者を確実に捕らえる為だ。
そして、軍務卿とジェイド様が門兵に近づいた。
「この屋敷に何をしにきた。ここはバザール伯爵様の屋敷だぞ」
「ただの兵が誰に対してものを言っているのだ。私は軍務卿だ。国からの命令により、これから屋敷の捜索を開始する」
「くっ。おい、不審者が出たぞ!」
「ここを通すな!」
軍務卿が門兵に命令書を見せつけても、門兵は怯むどころか門を通させないために強気の態度で出てきた。
「これは力づくで押し通すしかないですね」
「全く面倒だな。全軍、行動開始!」
ジェイド様と軍務卿が呆れた様に話をしている。
そして、軍務卿の命令によって屋敷への突入作戦が開始された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます