百三十八話 帝国での結婚式に向けて準備

 エマさんとオリビアさんの入園式も無事に終わり、次の大きなイベントは帝国の皇帝陛下とケイリさんの結婚式。

 ケイリさんは側室になるし皇妃様は妊娠中なので、市内のパレードは行われないという。

 しかし、帝国に各国の要人を招いた上で結婚式は行われる。

 なので、各国首脳にとっては外交の場にもなるそうだ。

 しかし海外なので、何かあった際の事も考えないといけない。

 王城での勉強が終わり、昼食の時にその辺りの話が陛下からされた。


「ということで、帝国での結婚式には余とアリアとエレノアにアレクとリズで参加する。ルーカスとルーシーは、ビクトリアと叔母上と共に留守中の国内を頼むとしよう」

「「はい」」


 今回はティナおばあさまとビクトリア様にルーカスお兄様とルーシーお姉様が、王国内でお留守番となる。

 ルーシーお姉様は結婚式に参加出来なくて残念そうだが、ルーカスお兄様は面倒臭い外交に巻き込まれずに済んでほっとしていた。


「外交には、余とアレクが参加する。エレノアとリズは、まだ外交の場は早いだろう」

「あの、僕もエレノアとリズと同じ年齢なんですけど……」

「アレクは強制参加だ。アレクなら外交に参加しても問題ない知識があるし、何より相手側の国からアレクの事を指名されている。救国の天使様を見てみたいらしいのう」

「うわー、それでは断れないですよ。しかも、救国の天使様って何ですか……」

「王国と帝国を救ったからに決まっているだろう。しかも、それが子どもなのだから各国首脳は会いたいだろう」


 僕は陛下の話を聞いて、思わずテーブルに突っ伏してしまった。

 この前の学園の挨拶の件といい、最近は最初から断れない状況になっている。


「来週の週明けに帝国に行く。滞在は四日間で、三日目に結婚式だ。他の日は全て外交の場となる」

「「「はい」」」


 リズとエレノアにスラちゃんが元気よく手を上げているが、僕はずっとお仕事か。

 リズとエレノアは、僕が仕事中はリルムと遊んでいそう。


 話が終わると、早速結婚式で着る服装のサイズ合わせ。

 更に僕は、外交の時に着る服も合わせるという。

 というか、何で僕が偉い人と面会する為の服が既にあるの?


「アレク君なら、外国の要人と会うくらい当然ね」

「大体の体のサイズは分かるし、作っておいて問題ないわ」


 と、ビクトリア様とアリア様談。

 いやいや、僕よりも前にルーカスお兄様が外交デビューしないと。

 

「ルーカスは外交デビューしているわよ。一歳の時にね」

「確か、私が陛下の元に嫁いだ時ですね。ちっちゃくて可愛らしい男の子が、元気よく返事をしていたのを覚えてますわ」

「ええ、他国の首脳もニコニコになりましたわ。紛争明け最初の首脳会談だったからどうなるかと思ったのよ」


 あの、確かにルーカスお兄様は外交デビューしていますが、僕は普通に会談する方ですよ。

 あ、駄目だ。

 ビクトリア様とアリア様が、思い出話に火がついて話が長くなってきた。

 その間に、ティナおばあさま主導で、侍従に囲まれて僕とリズとエレノアのちょっとした服のサイズ直しが行われている。

 子どもの成長は早いですねって侍従に言われながら、着せ替え人形状態に。

 今回帝国に行かないルーカスお兄様にルーシーお姉様も、服のサイズ直しが行われている。

 それは、自身の誕生日パーティとジェイド様とソフィアさんの結婚式用の服だという。

 一時間以上かけて、子供用の服が直された。

 そして当然というか全員着せ替え人形で疲れてしまって、久々に全員でお昼寝になったのだった。

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