(一)-4

 古山はテレビの画面をぼんやりと見つめていた。そして時々テーブルの上の不採用通知の紙をつまんで文面を眺めてみたり、ため息をつきながら物思いにふけり、それが一巡すると、その紙を放り投げるなどした。

 その紙がひらひらと床に舞い落ちる先のテレビでは、芸能プロダクションでありお笑いで有名なオシモト興業が運営する「お笑い学校」のCMが流れていた。


 その一ヶ月後、古山は左手にA4サイズの茶色の封筒を手にして、梅田駅の東口から徒歩数分の所にあるビルの前に立ってビルを見上げていた。

 そのビルの入口にはオシモト興業が運営する、「お笑い学校・入学願書提出はこちら」という看板が立てられていた。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る