第三百九十三話 披露宴後で……

「皆様、お疲れ様です」


 披露宴も終わり、送っていく人の送迎も終わったので、俺達は屋敷に戻っていた。

 はしゃいでいた子ども達は疲れてしまったのか、既に夢の中にいる。

 そんな中、俺達は食堂でマリリさんの出してくれたお茶を飲んで一息ついていた。


「色々とあったけど、何とか終わったな」

「襲撃があったのは余計だよ」

「本当ですね」

「怪我人が出なくて良かったですね」

「その代わり、忘れられない結婚式になりました」

「確かにインパクトはありましたね」


 昔何かの映画で、結婚式に別の男が乱入して新婦をさらっていくのがあったらしいが、俺達の場合は貴族の反乱だもんな。

 皆もウェディングドレスを着ながら敵兵を制圧したし、確かに忘れられない結婚式になりそうだ。

 そんな中、エステルが俺に話しかけてきた。


「ねえ、サトー」

「うん? なんだ?」

「皆で、幸せになろうね」

「……おう」

「あー、サトーが照れてる!」

「うるさい、不意打ちを食らわしたお前が悪い!」


 焦った。

 ニコリと笑ってのそのセリフは破壊力満点だった。

 思わず照れてしまったぞ。

 リン達も、微笑みながら俺とエステルのやり取りを見ていた。


「ふふふ、それに今日からサトーと一緒に寝られるのだ。私がサトーを食べちゃうのだ」

「お前、表現が直接的だぞ」

「ははは、リンちゃん達とも一緒なのだ。皆してサトーを食べちゃうのだ!」

「俺、オオカミに狙われている羊かよ」


 そういえば今日は初夜だと思いつつ、俺に覆いかぶさってくるエステルを防ぎつつそんな事を考えていた。


「あ、サトー様の部屋では、既にララとリリとレイアが寝ております」

「「「「「……」」」」」

「今日はベッドが大きめの客室で寝るか」

「そうだね……」


 いつも俺はララとかと寝ているから、今日も普通に寝ているのか。

 因みに、エステルの部屋以外は、毎回子どもが寝にきている。

 何だか拍子抜けだけど、仕方ないと割り切って俺達は客室で休む事にした。


「へっへっへ、今夜は寝かさないよ」

「おい、セリフが逆だろ」

「いいじゃないか。皆で、サトーを食べちゃうのだ!」

「あー!」


 そして、テンションが高いエステルに引っ張られた女性陣によって、俺は貪り食われたのだった。

 何か違うけど、気にしないことにした。

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