異世界転生したので、のんびり冒険したい！

第三百八十七話 どたばたしている結婚式当日

そして厳戒態勢の中の結婚式当日がやってきた。

　来賓は一旦王城に集合し、そこからうちのワープ使いで順次教会に運んでいく。

　王城の警戒は最高レベルで、何故か警備に混じってマシュー君達も目を光らせていた。

　しかし意外とマシュー君達の監視は効果的で、刃物を隠し持っていた貴族を見つける手柄を立てていた。

「はあ、ほぼ壊滅したタヌキ侯爵一派の残党か。もしかしたら一発逆転を狙ったのかもな」

「早速、馬鹿なマネをした貴族の屋敷に捜索が入りましたね」

「領地持ちですがバルカス公爵領の近くなので、既にバルガス領と軍の混成部隊が向かっています」

　俺は陛下と閣僚と話をするが、この日の為に馬鹿な貴族は大人しくしていたらしい。

　王族との結婚式なので、慣習で全ての貴族に招待状を送ったのが裏目にでたのか。

　因みにこの件にスラタロウとホワイトが激怒して、ホワイトは早速バハムートに乗ってその貴族の屋敷に乗り込んだという。

　うーん、せめて屋敷は半壊位で抑えてくれると後処理が楽なんだけどな。

　因みにホワイトが出陣してしまったので、着替えが終わった俺が来賓をエスコートしながら教会にワープで運ぶ事になった。

　その間に合間を見て教会の控室にいるエステル達に顔を見せた。

「あれ？　サトー、どうしたの？」

「やはりというか、アホな事をしてきた貴族が出たよ」

　部屋にはエステルとリンとフローレンスにソフィーとジュリエットが、純白のウェディングドレスに着替えて待機している。

　王妃様達にエーファ様にサーシャさんもいて、ソフィーとジュリエットの母親も娘の着付けの手伝いをしていた。

　こんな状況じゃ無ければお世辞の一つでもいうのだが、今はドタバタしているので簡単に話をしたら案の定王妃様達のテンションが爆上がりしてきた。

「ふふふ、そんな馬鹿な貴族がいたのですか」

「ホワイトが屋敷を全壊させても、何も問題ありませんわ」

「私の手が空いていれば、自らの手で屋敷を全壊させましたわ」

　こえー、王妃様達は物凄く怒っている。

　まあ、許可なく刃物を持って王城に来た時点で相当な罪になりますけどね。

「私もそのお馬鹿さんの屋敷の捜索に加わりたいですわ」

「あら奇遇ですね。私もそう思っていたのですよ。フフフ」

　エーファ様にサーシャさんも、どす黒いオーラを隠す事をしていない。

　ソフィーとジュリエットの母親が若干引いている程だぞ。

「と、とりあえず来賓を連れてきます。もしかしたら、結婚式が早まる可能性もあります」

「それは問題ないよ。こちらも準備万端ですし、いつでもいけますわ」

　リンからのありがたい言葉を背に受け、俺は教会から王城に戻った。

　既にホワイトとバハムートは戻ってきていて、屋敷の捜索は済ませたという。

　直ぐに軍務卿が俺に話しかけてきた。

「奴の屋敷から、複数の人神教国の残党が連行されたという。例の貴族と協力関係にある貴族の屋敷にも、既に軍が突入している」

「貴族主義の連中にとって、俺は目の上のたんこぶですからね」

　思ったより早く人神教国の残党とのいざこざが始まってしまい、俺はかなりげんなりしてしまった。

　その間もスラタロウとホワイトとショコラによって、次々に来賓が運ばれていく。

　どうも来賓は披露宴の料理の方が興味あるらしく、結婚式を早めにして欲しいオーラが出ている。

　というか、捕まった貴族以外の来賓が揃ったので、残っている陛下と閣僚を連れて王城にワープした。