第三百八十三話 王城にきた実習生

「エスメです、宜しくお願いします」

「ヴィヴィです、宜しくお願いします」

「「「わーい! パチパチ」」」


 王城にも長期実習生がやってきて、うちの所にはニース子爵家のエスメとこの学年主席のうさぎ獣人のヴィヴィがやってきた。

 既に顔なじみだし能力も申し分無いので、とっても助かる。

 ララとリリとレイアも、二人を歓迎している。

 因みにヴィヴィは従魔のフォレストラビットのウーも連れてきていたのだが、早速ホワイトに王城の巡回へと連れて行かれた。


「今年は、昨年の火山噴火対応を経験したメンバーが多数王城に来てくれた。各部署も諸手を上げて歓迎しているぞ」


 宰相の言うとおり、実習生は既に昨年実務をこなしているのでどの部署も直ぐに実務に入っていた。

 勿論、エスメとヴィヴィもララとリリから書類整理を教わりながら早速仕事を始めている。

 

 どーん。


「だからなのか、下から上がってくる書類が多いな。サトーよ、頑張れ」

「いや、効果音付きの書類の山は勘弁です……」


 宰相から、沢山の書類の山が俺の机の上に置かれた。

 思わず書類の山を崩したくなったけど、そこは我慢して書類をガリガリとこなしていく。

 因みに今年の王城の実習先の一番人気は、ルイ様の侍従だった。

 ルイ様の奥様が妊娠していて、王孫である赤ちゃんの世話もできるとの事だ。

 当然他の貴族とも接点が増えるので、将来の就職にも有利となる訳らしい。


「サトーさん、この書類はこちらでいいですか?」

「うん、問題ないね。そのまま続けてくれ」

「分かりました」

「こちらの書類で分からない所があるのですが」

「これは記載ミスだな。差し戻しの箱に入れておいて」

「はい」


 こちらも皆で書類を処理していくが、エステルと違ってエスメとヴィヴィはとても優秀だ。

 あっという間に色々な事を吸収していくよ。

 教える方としても、非常に有り難い。


「ふむ、流石は優等生は違うな。サトーよ、追加だ」

「えー!」


 ドシーン。


 宰相、いくらなんでも書類の量が多いのですが。

 と思ったら、ララとリリとレイアからも追加があった。


「サトーさん、凄いですね」

「流石はサトーさんです」

「ハハハ、有難う……」


 エスメとヴィヴィからできる男だと思われているが、流石にこれはキツイぞ。

 こっそりと心の中で涙を流していた。


「疲れた……」


 午前中そして午後と大量の書類をこなして、今はティーブレイク。

 甘い物が脳みそに染み渡るよ。


「サトー、結婚式の準備は大丈夫か?」

「俺は大丈夫です。既にウェディングドレスも出来てますし、指輪も完成しています」

「なら良いが、ここの所ドタバタしていたからな」

「どちらかというと、エステルの花嫁修業が終わるかが心配です」

「フローラ様は、結婚式が終わっても花嫁修業は続けると言っておったぞ」

「ですよね……」


 宰相と結婚式の準備について話をするが、物理的な物は既に完璧だ。

 教会側もやる気満々だし、実は子ども達が三つのブーケ作成もしていた。

 料理はスラタロウが本気を出すと言っているので、どちらかというと来賓の方が楽しみになっている。

 エステルの事は、この際置いておこう。


「サトーさん、私達も結婚式に誘って頂き有難う御座います」

「結婚式、とても楽しみにしています」


 昨年うちに実習にきた面々も、結婚式に招待している。

 全員にエーファ様とサーシャさん作成の服もあるし、新婦側も是非にと言ってくれた。


「ララも頑張るよ」

「リリも頑張る!」

「レイアも」

「皆も頑張ってお手伝いしてね」


 ミケやララ達に加えてドラコ達も、ルキアさんの結婚式と同じ様にフラワーボーイとフラワーガールをやる予定だ。

 たまに休日を利用して、白い花びらを集めたりしている。

 どうもルキアさんの結婚式でやったのが楽しかったらしく、ソフィーとジュリエットの兄弟もその話を聞いてやる気になっていた。


「では、後ほど屋敷に伺います」

「宜しくお願いします」


 仕事が終わって皆お待ちかねの宴会なのだが、エスメは一旦王都にあるニース子爵家の屋敷に向かった。

 因みにヴィヴィも平民だが王都に自宅があるので、こちらもうちに帰ってから屋敷にくる予定だ。


「おお、帰ったか。待っていたぞ」

「サトー、後から息子達もやってきますよ」

「……はい、分かりました」


 そしてうちに帰ると、既にパーティ会場で準備万端といった感じでお偉い方々が待っていた。

 毎回思うけど、本当に宴会好きだよな。

 おっと、エスメ達もやってきた様だ。

 さて、二日連続の宴会を開きましょうか。

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