第三百四十九話 就寝タイム

「うーん、うーん」

「ほら、部屋に戻るからしっかりしろ」


 聖魔法で若干回復したとはいえ、エステルは完全にグロッキー。

 丁度卓球も一息ついた様なので、皆で部屋に戻る事に。

 しかし、エステルをどうやって運ぶか。

 仕方ない、こうやって運ぶか。


「「「「「「あー、ずるい!」」」」」」


 おお、エステル以外の全ての女性陣からクレームが入ったぞ。

 俺は、エステルの事を抱き上げた。

 いわゆるお姫様抱っこの形だ。

 変に揺らすとリバースしそうで、仕方なくこの形を選んだんだ。仕方なく。

 エステル以外の女性陣の視線が俺に突き刺さってとても痛いぞ。

 

「「「「おんぶして」」」」

「無理いうな、両手が塞がっているんだよ」


 後ろからミケ達が抱きついてきそうだったので、流石に断った。

 リンとフローレンスからも無言の圧力を受けているのだが、何とか耐えきって部屋に到着。

 部屋は既に布団が敷かれていて、いつでも寝れる準備が出来ていた。


「エステルは、トイレに近い方が良いだろう」

「そうですね。何かあった時に近い方がいいですから」


 フローレンスとの意見も一致したので、エステルはトイレの近くの布団で寝させる事にした。

 既にグーグーいびきをかいているので、余程の事がない限り朝まで起きないだろう。


「はあ、何だか疲れたよ」


 エステルと少し離れた布団にごろりと横になると、早速ミケ達が突撃してきた。


「「「「お兄ちゃん、抱っこ!」」」」

「勘弁してくれ、もう疲れたし眠いぞ」


 ミケ達が背中に乗ってギャーギャー騒いでいるが、今日は普通に業務もしてきたので結構疲れている。

 段々とうとうとしてきて、意識が飛びそうになってきた。


「ミケちゃんも、サトーさんは疲れているんですから」

「そうですわ。ここは、私達がマッサージしてあげましょう」

「それはいいですわね」


 意識が半分飛んでいる状態で聞いているが、リンとフローレンスが俺のマッサージをしてくれるという。

 背中に柔らかい重みを感じたら、肩と背中をマッサージし始めた。

 おおう、柔らかさもあるけど二人は見た目と違って力もあるのでとても気持ちいい。


「だいぶ筋肉が硬くなっていますね」

「普段からデスクワークをしているので、凝り固まっていますね」


 背中から腰にマッサージをする個所が移っていくが、俺は殆ど意識が飛んでいる。

 

「座りっぱなしなので、腰も凝っていますね」

「軽く動いていますが、これではあまり効果がなさそうですね」

「でも、サトーさん寝てしまっていますね」

「ふふふ、可愛らしい寝顔ですね」

「「「「一緒に寝る!」」」」

「そうですね。皆で寝ましょうか」

「明かりを消しますね」


 俺が寝てしまってから、一体どんな状態になっているかは分からない。

 布団がもぞもぞとなって少し目が覚めたけど、直ぐに眠りについたのだった。

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