第三百五十話 賑やかな目覚め

 スッキリして目覚めもよく、気持ちいい朝だ。

 昨晩マッサージしてくれたおかげかな。


 さて、今の現状を整理しよう。

 俺の上には、ミケ達がくっついて寝ている。

 これはいつも通りの光景だ。

 俺の両腕を腕枕にして、リンとフローレンスが寝ていた。

 えっと、大丈夫。

 着衣に乱れはない。

 セーフだ、セーフ。

 何がセーフとかは言わないぞ。

 因みに首を部屋の入り口の方に向けると、エステルは掛け布団を抱きまくらにして寝ていた。

 こっちも布団が綺麗なので、ある意味セーフだ。

 あ、エステルが起きた様だ。

 俺と目があった。


「あー、皆何しているのよ!」

「「「「「「なに? ぐう」」」」」」

「寝るな! ズルいぞ!」


 皆が俺に抱きついて寝ているのを見てエステルがギャーギャー騒いでいるが、皆は気にせず二度寝を始めた。

 すると、エステルが実力行使に出た。

 先にミケ達を俺からはがし始め、続いてリンとフローレンスを持ち上げ始めた。

 おお、朝イチから元気だな。

 

「ふう、えへへ」

「テンション高いな」

「「お姫様抱っこして貰ったのにズルいぞ!」」

「それはそれ、これはこれ」


 エステルは、昨日のお姫様抱っこの事をなんとなく覚えていたようだ。

 そのまま、俺に抱きついて添い寝を始めた。

 リンとフローレンスのツッコミも遠慮がないな。

 と、思ったら……


「ぐう」

「本当に寝始めたぞ」

「むー、ズルい」

「起きて」

「起きてよ」

「ぐう」


 何故かガチでエステルが寝始めたので、ミケとララとリリが俺からエステルを引き離そうとしている。

 くそ、エステルのやつ実は起きているな。

 俺の腕をギュッと抱きしめてきた。

 浴衣も乱れているので、下着はつけている様だが何やら柔らかい物が腕に当たっているぞ。


「ふふふ、こんな時はレイアの出番」

「ギャー!」


 おお、エステルが悲鳴を上げて飛び起きたぞ。

 レイアが足の裏にあるツボを、思いっきり押した様だ。

 涙目のエステルが、レイアの事を指さしている。


「ちょっと、何という起こし方をするの!」

「起きなかったエステルへの罰」


 暴れて起きたので、エステルの浴衣が乱れて下着が丸出しなのだが、俺も含めて誰も指摘はしなかった。


「さて、着替えて皆を屋敷から呼んでくるか」

「そうですね。ポチ達も起きた様ですし」


 この騒ぎで、ようやくタラちゃんやスラタロウが起きてきた。

 そして、皆が着替え始めた。

 いや、ミケ達はともかくとしてリンとフローレンスも堂々と着替えているんですが。

 はい、分かりました。

 俺は壁に向き直って、ゴソゴソと着替え始めた。

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